こんにちは、鍵野です。6月に入りましたね。佐伯上浦も昨日までは梅雨っぽかったんですが、今日は気持ちの良い青空が広がっています。呼吸したり身体を動かすときに感じる空気も軽るくて、それだけでなんだか明るい気持ちになってしまいます。
野田先生のアドラー心理学異端説(笑)である絶対的全体論ではないですが、こうしてお天気次第で気分もすぐに変わってしまうということは、人は社会だけでなく、地球、宇宙に組み込まれて生きている存在なんだなぁと実感しますね。
まぁ、組み込まれている存在であるという事実と、その「私」を組み込んでいる存在である「全体」を何らかの目的を持って動いている主体的な存在だとみなす(信じる?)のかどうかは、全然別な話で、鍵野は個人の主体性にはイエス!と言いますが(だからアドレリアンなんですけども)、鍵野を含む全体に何らかの主体性があるかどうか(これにもイエス!というのが絶対的全体論の立場と思いますが)については、それにはノー!と言います。個人個人の仮想の中でそういうものを想定する方が幸せならそうされればいいけども(カウンセリングでは、これはお仕事なので、相談者さんとその相手役さん周りの方がそれで幸せに向かうのであればもちろんイエス!と言います)、鍵野としてはお釈迦様の教え(初期仏教)を真剣に学んでいる仏教徒として、そういうものは心が作り出した妄想に過ぎないと思っているので、なので、野田先生の弟子と自認してはいるものの、「絶対的全体論」についは、それが必要な方への方便としてだけ受け取っています。
そもそもお釈迦様の教えによれば、「私」自体が幻想であり、実感はあるけれども五感+意のそれぞれがバラバラに感じていることを束ねるために心が作り出した後づけの妄想に過ぎないので、その「私」を自我ではなく、「個人」という全体とすることで自意識という「私」を相対化できているアドラー心理学は、俗世間の知恵としてはこれ以上はない、たしかにこの方向にしか抜け道はないと思える素晴らしいものなんですけれど、やっぱり方便に過ぎないと言ってしまえばそれまでで、でもだからこそ「アドラー心理学は真理ではなく便利」と誠実に開き直っているところが凄いなぁ、アドラー先生凄い!とあらためて思います。
と、今日は珍しくアドラー心理学の話題から、しかも鍵野にとってのギリギリのところ、一番きわどいところから入ってしまいましたが(笑)、続いて、日曜日に開催された宮崎県都城市でのアドラー心理学学習会の最終回について書いてみたいと思います。
まず講師を務めた感想からなんですが、よかった! 昨年12月から隔月で開催されてきて、今回が4回目だったんですが、本当によかった! 今の鍵野に伝えられる本気のアドラー心理学を必要な人にはしっかり伝えられたという実感があります。
毎回、20名くらいの方に参加いただいていたのですが、今回は少なくて10名ちょっとの参加者でした。最終回が少ないのは…? 後から考えて、そういうことか!とわかった気がしたのですが、今回はこれまでと違って二部構成にしていて、第二部では、アドラー心理学の自助グループ体験会をやってみようということにしていたんです。それで、こちらとしては第一部の講義だけ受けられて帰っていただいて全然構わないというか…むしろたくさん残られたら困ると考えていて、自助グループのよさをしっかり体感してもらうには、本当に自分の課題を解決したい人、本気でアドラー心理学に救いを求めている人、熱心な人だけがほんの数名でいいので残ってくださればと思って企画したものなので、大半の方が帰られて、4~5名残っていただければ十分と思っていたのですが…
ふたを開けてみたら、なんと8名の方が残ってくださって、帰られた方は3名くらいでした。そうか…、途中で帰るということに対して、たぶん気を使われた方が多かったのではないかなと。なので最初から参加しなかった方もいらしゃったのではないかと…、都城のみなさん、気を使われる方が多かったのかなと。
ちょっと申し訳なかったなぁと思いました。残られた方に対してではなく(残られた方はみなさんモチベーション高く、それぞれの課題をもって、積極的に自助グループに参加くださいましたので)、これまでと同じようなスタイルの会であったならば話を聞きたかった、参加してくださったであろう方々に対してです。
もう少し、第二部は本当のおまけ的な扱いにしておくべきだったかなぁと(本音としては、この自助グループ体験会実現のために、都城まで4回通ったんですが(笑))。
第一部では、これまで通り勇気づけをテーマに、野田先生の残してくださった「勇気づけの歌」が元ネタですが、その最後の四分の一についてお話をしました。そして野田先生がとくに伝えてほしいとおっしゃっていた(と思っている)ライフスタイルと共同体感覚について、最後のまとめとしてお話しました。
みなさん熱心に聴いてくださり、アンケートを読ませていただいて、アドラー心理学の考える「平等」についてなど、伝えたかった事、大事なことが伝わったことがわかり、講師として本当にうれしかったです。
四回ともそうだったんですが、パワーポイントを使わず、ホワイトボードにまずい字を書きなぐっての講義で、参加された方は判読が大変だったかもですが、こちらとしては大満足でした。
これまで経営コンサルタントとしてのセミナーもたくさんやってきて、それはそれで役に立っていたと思うし、しっかり準備したパワーポイントでわかりやくする工夫もしてきたとは思うんですが、どこか借り物的なところがあったと思うんですね。
でも、アドラー心理学については、これ以上本気で学んだものは(仏教は別ですが)他にはないし、これまで学んで実践してきて、その場で出てくるものだけでしっかり価値提供できるはずという自信もあったので、あえてあまり準備せず、参加者との生のやり取りの中で、やれることをやってみようという、そういう講演会にしたかったので、各回のアンケート結果からもその狙いが実現できてきたことがわかって、本当に嬉しかったです。
それでも、それ以上に嬉しかったのが、その第二部として実施した自助グループ体験会でした。
鍵野以外は、「エピソード分析」を知っているのは主催者のMさんだけで、他の7名の方は講演会の中で言葉としては出てはきましたが、見るのも聞くのも初めてだったんですが、いきなりのグループエピソード分析を実施したのでした。
自助グループのやり方にはいろいろあって、課題図書を決めてみんなで読み合わせをするような会もあるし、気軽におしゃべりしながらところどころアドラー心理学が出てくるという感じのもあるし、一番多いのは子育て学習プログラム「パセージ」のフォロー会として、共通に学んだパセージを土台にしてどなたかの気になった出来事についてみんなで考えるというのもあるんですが、たぶん、一番アドラー心理学らしい援助のできる自助グループ、一番ハードルが高いとも言えるかもですが、それが、みんなでどなたかの困った出来事について「エピソード分析」をして、みんなで協力しながらアドラー心理学の考え方にそって解決していこうという「グループエピソード分析」です。
普通は、「パセージ」を修了して半年以上実践して、アドバンスドコースである「パセージ・プラス」を受講して、そこで初めて「エピソード分析」について教わるので、「エピソード分析」に出会うのには相当の時間と労力とお金を費やしてようやくということになるんですが、今回、都城のみなさんと、そういった手続きなしにいきなりやってみようということになったわけで、乱暴と言えば乱暴とも言えるかもですが、もちろん鍵野には大丈夫という感触と見通しがあったからこそやったことでした。
いきなりと言っても、最初に鍵野からアドラー心理学の話を聞いてから半年以上経っているし、それなりに実践方法も伝えてきたし、本当に自分を変えたい、アドラー心理学で救われたいという強い思いのある人だけが参加されるように仕向けてきた流れがあってからの実施だったので、それなら大丈夫と自信があったんです。
それで実際、自助グループ体験会の内容は、もちろん守秘義務があるので書けないのですが、本当に感動的でした。
初めてだし、誰もエピソードなんて出してくれないのではないかもしれないという心配は杞憂に終わり、2名の方が本当に気になってらっしゃる大事なエピソードを、メンバーを信じて話してくださいました。
そこから協力的に、今回の事例提供者を決めることができ(扱えなかった方はぜひ次回に)、そこからは鍵野がリードはしましたが、それでもみなさん初めてとは思えないくらい、アドラー心理学で考えて、協力的に積極的に参加してくださり、事例提供者さんの仮想的目標について、鍵野がゲッシングするまでもなく、みなさんの言葉でしっかり認識反射が出るステキな真心の無意識的な願いをホワイトボードに記すことができました。
さらにご本人と相手役さんのストレングスについても、みなさんベテランアドレリアン?と思ってしまうほど、たくさん出していただけて、自然と事例提供者さんの構えも緩んで、最後、会場撤収ギリギリの時間となって、鍵野が引っ張った感はあるものの無理せず実行可能かつ協力的な方に一歩踏み出せる代替案をロールプレイでの練習と共に持って帰っていただくことができました。
やっぱり「エピソード分析」って凄い! 野田先生がこの日本に残してくださったこの宝物のおかげで、確実に世界が変わった実感があります。言葉で「共同体感覚」について話す必要もなく、その場に参加してくださったみなさんそれぞれにそれをしっかり体感して帰っていただけたと思います。自助グループで誰かを助けることで自分も助けられるあの感覚、平等の位置で、誰かと比較することなく、その人/その人、あの人/あの人、私/私、そして、みんな/みんな=平等の場が、実現できました。参加してくださったみなさま本当にありがとうございました!
カウンセラー仲間のみなさん、パセージ・プラスリーダーのみなさん、せっかくの「エピソード分析」どんどんどんどんやっていきましょう! 広めていきましょう! きっとその先に日本と世界、人類の平和、平等な暮らしが実現するはずです。
都城にアドラー心理学が根付くといいなぁ。アドラー先生、ドライカース先生、シャルマン先生、野田先生へのせめてもの恩返しとして、呼んでくだされば、求めてくだされば、時間とお金の許す限り(笑)、「エピソード分析」を伝えに行きますので、何度でも遠慮せず呼んでください。
九州でお二人以上(一人ではアドラー心理学は学べないので)集まってくだされば、どこでも出かけていきます! 一緒に「エピソード分析」を実践して一歩ずつ幸せに向っていきましょう。
読んでいただきありがとうございます。
みなさまどうぞよい一日をお過ごしください。
生きとし生けるものが幸せでありますように。