アドラー心理学で一緒に考えてみませんか

アドラー心理学カウンセラーの鍵野が気になったことのあれやこれやを綴ります

ライフスタイル分析のできないアドラー派のカウンセラーは存在しない?

こんばんは、鍵野です。
夕方からますます寒くなってきました。明日からまた福岡に出かけるのですが、帰りには雪道を走ることになるかも。しかし、まぁ、暑くなるのも寒くなるのも自然の因果法則によっているわけで、それを悲しんだり喜んだりするのは人間様の勝手な判断で、本来、良いも悪いもないんですよね。


自分の期待通りだと嬉しい、期待外れだと悲しい、だったら期待しなければ嬉しくも悲しくもないという、これもまた人の心も含めた因果法則ですね。寒いのが嫌だったら暖房を入れるとか暖かい服を着るとかすればいいわけです。寒いのが嫌だと感じるのは事実だから感じている瞬間には変えられないけれど、暖房を入れて部屋が温まってくればその「嫌」=「苦」からは逃れられます。これは理性的な対応ですね。無理やり、心頭滅却すれば火もまた涼し…じゃなくて、氷も暖かし?とかって自分の感覚を騙すのはばかげていると思います。


冷たいものは冷たいですよ、やっぱり(笑)。冬が寒いのは仕方ない、それでも、ただ、因果法則に逆らった期待をやめるだけで、人は確実に「苦」を減らすことができます。無理な期待をして、余計な苦を背負い込む必要はないんですよね。今は冬なのに、夏でありますようになんて願いながら暮らしたら、毎秒毎秒期待を裏切り続けられて苦しむことになります。そういう人は飛行機に乗ってオーストラリアかどこかへ行けばいいんですよね、そうしたら願いが叶います(笑)。


さて、今夜は「ライフスタイル分析」について書いてみたいと思います。これ、アドラー心理学用語です。ちまたの生活様式という意味でのライフスタイルではなくて、その人の人生を貫く法則といった意味での「ライフスタイル」を分析することを言います。それで、野田俊作先生の2007年の講義録音(ライブラリ)を聞いていて、その講義から10年後の2017年に初めてアドラー心理学に出会って学び始めて去年2022年に野田俊作顕彰財団(AIJ)と日本アドラー心理学会からカウンセラー資格をいただいた鍵野には、えっ!と驚く教えが語られています。

 

「ライフスタイル診断というのは、アドラー派のカウンセラーの必須科目。必、須、科、目。これをパスして、ライフスタイル診断ができないアドラー派のカウンセラーは存在しません。それはアドラー派のカウンセラーではありません。だからライフスタイル診断、絶対上手になってくださいね。あの~、英語喋れない先生は、英語の先生でないように、ライフスタイル診断できないアドラー派の治療者はアドラー派の治療者ではありません。それは騙りです。それは詐欺です。」と。

 

ベテランカウンセラーにとっては驚くことではないと思うのですが、ここ何年かの間にカウンセラーになられた方にとっては、結構驚きの内容ではないでしょうか。


というのもですね、カウンセラー養成講座では、ちゃんとライフスタイル診断をライフスタイル診断として習ってないからです。どうしてこういう微妙な言い方をするかというと、実は、「エピソード分析」はライフスタイル診断と言えなくもないからなんですよね。相談者さんの困ったエピソードでの独特の価値観、その人の私的感覚を分析するので、それってライフスタイルではあるんですよ。だから、捉え方によっては、たしかにみんなライフスタイル診断ができるから試験に合格してカウンセラーになったんだとは言えます。が、なんか微妙な言い方をしてしまったのは、いわゆるライフスタイル診断として、世の中で本も出て紹介されている定番の方法は、「エピソード分析」の私的感覚を分析することではなくて、主に早期回想(小さい頃(10歳くらいまで)の出来事で、ありありと思い出せる感情を伴ったもの)から、その人の現状認識(劣等の位置):「世界は~だ」「人々は~だ」「私は~だ」と、優越目標:「私は~であるべきだ」と、(愛用の)方法:だから「私は~する」という信念体系を言葉で抽出することを指すからです。


早期回想もエピソードなので、それを「エピソード分析」をすれば、すなわちライフスタイル分析(医学的な「診断」というと日本では医師の独占業務で、医師でもない鍵野ような人が安易にその言葉を使うと危ないので、誤解を招かないためにも「診断」と言わず「分析」と言い換えます)になるはずですが、これ早期回想を題材にした「エピソード分析」は、デモで先生がなさるのを見たことはありますが、それはカウンセラー養成講座では学ばないんですよね。カウンセラー養成講座で早期回想に全く触れないわけではなくて、受講生の早期回想を先生方が読んでくださるという学びは毎日ありました。が、きっとカウンセラーになった人に「ライフスタイル分析できますか?」と聞いて、「はい、できます!」と答えられる人がどのくらいいるのかというと、聞いたことはないけれど、少なくとも全員じゃないと思うし、奥ゆかしい方も多いし(笑)少数派という気がします。


で、鍵野はというと、じつは今年7月にカウンセラー業をスタートするにあたり、そこが一番気にしていたところで、少なくとも自問自答としては「はい、できます!」と答えられるようになったので、プロとして仕事を始めました。やっぱり、さっき紹介した野田先生のご発言がとても気になっていたので。詐欺はしたくないなと(笑)。実際、いわゆるライフスタイル分析もやってますし、やっただけの効果も出ていると思います。もちろん、時間もかかるので、やみくもにやるわけではないし、というか、本当に必要な方にだけ提案してある程度時間がかかることを承知いただいた上で、その方が結局早いからということで合意の上でスタートしています。どうやって学んだかについては、書けないこともありますが、基本はできる人がやっているのを見取り稽古で学んだということと、自分のライフスタイル分析をしてもらって、大きな変化があってその経験も活かしながらというのも大事なポイントでした。


できます!と言っても、それは誰かよりできるという意味ではまったくないし、目の前の人を援助するにあたって、ライフスタイル分析をした方がいいと判断できるときに、他にライフスタイル分析ができる人が近くにいるわけではないし、自分に責任を取れる範囲で「できない」とは言いませんというくらいの意味です。本来、スーパーバイズ(先生の指導)してもらいながら、進めるべきことだとは思うので、相談者さんの了解が得られれば、事後になったとしてもしっかり先生にも見てもらおうとは思っています。たぶん、この辺りになってくると、みなさん師匠と弟子のような関係の中で受け継がれてきたんでしょうし、今もきっとネットでいくら検索しても出てこないけれども(野田俊作顕彰財団と日本アドラー心理学会以外の団体でなら出てこないこともないようですが…)、個別には伝承され続けているとは思うんですよね。


来年はそのあたりも含めて、日本のアドラー心理学ムーブメントへの貢献を大前提として、自分も入れたみんなのためにライフスタイル分析が上手になることも視野に入れて、時間とお金を有効に使って、団体に拘らず(野田俊作顕彰財団と日本アドラー心理学会という2団体縛りには拘りつつ(笑))、しっかり学んでいきたいと思っています。


読んでいただきありがとうございます。
みなさまどうぞよい夜をお過ごしください。

生きとし生けるものが幸せでありますように。