アドラー心理学で一緒に考えてみませんか

アドラー心理学カウンセラーの鍵野が気になったことのあれやこれやを綴ります

正しさが争いを生む

<2023年10月18日wrote>
こんにちは、鍵野です。
10月も後半に入りましたね。空気が軽くて澄んでいるからか、遠くの音がよく聞こえる気がします。
 仮想論の話の続きですが、すべては仮想に過ぎないというアドラー心理学の理論的な前提を受け入れるととっても便利です。楽に暮らしていけます。それはどちらが正しいかを決めなくて済むからです。夫婦間でも親子間でも、会社の人間関係も、自分が正しいと言いたくなったとき争いが始まります。いつも自分が正しくないと気が済まない人は、いつも人と争っていないと気が済まない人です。そんな人同士がぶつかったら悲惨です。どちらかが相手を滅ぼすまでエスカレートしてしまうかもしれません。そして、相手をやっつけて得意になったとしても、そこで証明されたのは、自分の暴力性や卑劣さ情け容赦のなさであって、正しさではありません。強いものが正しいのはハリウッド映画のおとぎ話の世界の中でだけ通用するイリュージョンです。そして力で押さえつけられた人は、復讐の機会を窺うようになります、どちらが勝っても負けても、正しさの証拠はどこにもなく、恨みつらみの連鎖がどこまでも続いていくことになります。アドラー心理学を学んで、どちらが正しいわけではないことをわかった上で、さしあたって、ベストではなくとも相互繁栄のために譲り合える妥協点(正しくはないけど)を見い出せれば、現実的にハッピーに暮らしていけるのに…。
この世の中に何か正しいものがあるんだと信じてしまうと、それを人に押し付けたくなりますよね。アドラー心理学も同じことで、これが正しいと信じたら危ないので、アドラー心理学は真理ではなく便利だと野田先生もおっしゃっていたのだと思います。お釈迦さまの教え、仏教も、もともとは自分(お釈迦さま)を信じるなとおっしゃっていたそうです。信仰を求める宗教ではなく、お釈迦さまはただ修行の方法を教える師匠であって、あとは自分でやってみて確かめればわかるという教えだったそうです。アドラー心理学もそうです。やってみて自分で確かめたら、とっても便利なのがわかります。
それで、アドラー心理学の使い方ですが、自分も正しくはない(そうするのが好きなだけ)、相手も正しくはない(そうするのが好きなだけ)、でも、さしあたってよさそうな方向を決めないと行動できない。それで、3通りの方向を考えます(強引に自分の行きたい方向に進んで嫌われたり、勝手に引き下がって相手を恨むのが今までのやり方)。
A.自分(の好きな方向)に相手が合わせてくれる(納得してくれる)。
B.相手(の好きな方向)に自分が合わせる(納得できる)。
C.相手と話し合ってどちらも納得できる方向を決めて進む。
どれを選んでも、自分と相手が協力して進むことになるので、仲良くやっていけますし、このプロセスを通してそれまでよりも仲良くなれます。
…でも、きんつばの方が絶対正しいですけどね(笑)!
どうせ自分も相手もどちらも正しくはないんだ、便利な方を選べばいいだけど知っていれば、楽しく譲ったり譲られたり新しい道を考えたりできるようになると思います。と言いながら、まぁ、そんなに簡単でもないからカウンセリングなんていう商売が成り立つんですけれども(笑)。でも、カウンセリングでやっていることも結局同じことなんです。お金を払って早めに楽に到達したいかどうかの違いだけかもしれません。実行するのはカウンセラーではなくて相談に来られた方なので。
読んでいただきありがとうございます。
生きとし生けるものが幸せでありますように。