アドラー心理学で一緒に考えてみませんか

アドラー心理学カウンセラーの鍵野が気になったことのあれやこれやを綴ります

カウンセラーは話を聞くのか?

<2023年10月6日wrote>
こんにちは、鍵野です。じつは、明日もの凄く楽しみにしていたイベントがあって、それで、気合を入れて仕事を進めて、自分の手番は終わらせることができました。よかった!
そのイベントというのは、オープンカウンセリングというアドラー心理学ならではのイベントです。
 普通、カウンセリングというと、相談される方とカウンセラーが相談室で一対一で実施されるイメージがあると思うんですが、オープンカウンセリングというのは、相談される方とカウンセラーの周りに、たくさんの見学者がいる状態で実施されるカウンセリングです。びっくりしますよね、知らないと。でも、アドラー心理学ではむしろこれが普通なんだそうです。周りで聞いている人たちに勇気づけられるんですよね、自分の問題を他人事でなく、聞いてくれている人がいるだけで、それこそ共同体感覚というか、一人じゃない感じ、所属できている感じが強まっていくんです。で、一緒に聞いている人たちも、本当に他人事ではなくて、身につまされてしまったりして、自分の問題への洞察を得て帰ることもよくあるんですよね。アドラー先生も他の相談を待っている人たちに筒抜けの状態で相談を受けていたので、待っている人が聞いているだけで相談したかったことが解決してしまって、帰ってしまうこともあったらしいです。いいですよね~、いつか大分でもやってみたいです。
それで、明日なんですが、関西某所まで、大ベテラン大先輩のカウンセリングを見学してきます。この方のカウンセリングを見学するのは初めてなので、本当にワクワクしています。これまで見取り稽古してきた先生方先輩方のカウンセリングとはだいぶ雰囲気が違うらしいという前情報もあり、それでもアドラー派のカウンセリングには違いないので、きっと何か貴重なお土産を持って帰れそうな気がしています。
アドラー心理学でも「話を聞く」のが大事とよく言われます。世間一般でも言われますし、他派の心理学では「傾聴」という言葉で特に大事だと強調されることもありますよね。でもですね、アドラー心理学でもカウンセリングとなるとちょっとニュアンスが変わって、「話を聞く」というよりは「話をしてもらう」んですね。カウンセリングでは、解決したいことがあって相談に来られるので、解決に向かう話をしてもらう必要があるんですね。たしかに相談される方にすれば、話を聞いてもらってる感が強いと思うんですが、その聞いてもらっている話は、カウンセラーが質問したから話している話なはずなんです。交通事故で聞き取りをするときの警察官のする質問とは質問の仕方も聞き方も違うとは思いますが、解決(この場合は事故処理)という目的に向かって質問をするという意味では同じところもありますね。だから、カウンセラーの質問にはすべて意図があります。質問だけじゃなくて、本来、カウンセラーの一挙手一投足は、相談者の幸せな暮らしに向かう方向に制御されているはずです(理想であって、鍵野なんかまだまだその域にはほど遠いですが(笑))。頷くのか頷かないのか、驚いたり驚かなかったり、笑ったり笑わなかったり、首をかしげたりかしげなかったり、感心したりしなかったり、などなど全部意図があってやっているはずです。そうやって、言語以外のところでも相談者とコミュニケーションしながら、相談者の問題が解決する方向に話をしてもらっているんですね。ということは、カウンセラーに解決する方向が見えてないと話になりませんよね。そうなんです。もちろん、最初っから見えているわけはないので、それが見えてくるような質問を繰り出していくわけです。アドラー先生はコナン・ドイルを愛読していたらしいですが、探偵のように推測しながら、完成図を与えられていないジグソーパズルを完成させていくように、その人を理解していくわけです。しっかりご本人に確認しながら、推測が外れていたら執着せずポイっとすぐ捨てて(これがなかなか難しかった…物持ちがいいので(笑))、別の絵を描いていくんです。解決の方向が見えたら、それを相談者にもしっかり見てもらえるような質問をしていきます。このあたりがカウンセリングの醍醐味かなぁという気がします。こちらが直に言葉で教えてしまうのでは、インパクトも薄いし、わかったことのリアリティもいまいちになってしまうし、だいいち、カウンセリングの目的である共同体感覚の育成が疎かになってしまいます。せっかくのチャンスなのに。カウンセリングは協力の実験室とも言われます。相談者の力をたくさん出してもらって、協力して一緒に解決に向かう経験が、それこそ共同体感覚の発揮される経験であり、とっても大事なことなんですよね。
って、なんだかカウンセリングオタクな話をしてしまいましたが。そんな興味を持ちながら、ワクワクかつ冷静に観察して、大先輩の一挙手一投足から何かお土産をゲットしてきたいと思っています。
読んでいただきありがとうございました。
みなさま、どうぞよい週末をお過ごしください。
生きとし生けるものが幸せでありますように。