アドラー心理学で一緒に考えてみませんか

アドラー心理学カウンセラーの鍵野が気になったことのあれやこれやを綴ります

好きな方にいくとつらくなる話

こんにちは、鍵野です。
今日もとっても冷える佐伯上浦です。空は明るいしリビングに光も入りますが、しばらくエアコンのお世話になりそうです。


明日は、大分での今年最後の無料カウンセリングと本気の勉強会があります。9月から月一回で始めたので今回で四回目ですが、勉強会は少人数ながら(というかだからこそかもですが)熱心にアドラー心理学を受け取ってくださっているようで、とてもやりがいがあって充実した時間を過ごせています。ご参加くださる方のおかげです、ありがとうございます! 無料カウンセリングも、毎回手ごたえというか、お役に立てている感はあって、カウンセラーとしても毎回貴重な学びがあり、相談に来てくださる方々に助けられています。ありがとうございます! 稙田公民館がリニューアル?のため来年9月から使えなくなるらしいのですが、どなたもいらっしゃらなくなれば別ですが、鍵野としてはそこまで(来年8月まで)は続けていきながら、大分でのアドラー心理学ムーブメントにどう貢献していったらいいのか手探りを進めたいと思っています。

 

さて、今日はカウンセリングをしていて、相談者さんがとっても協力的なだけに生じてしまうあまりよくない流れ、自分も相談者として何度か経験したことのある流れについて書いてみたいと思います。まず、前提として、カウンセリングの契約をして、ある程度の期間と回数を見越して行うのではなく、一回限りのカウンセリングというときに起こる流れだと思います。そして、相談者さんがその一回限りのカウンセリングの中で、自分の役に立ちたいと動いてくれているカウンセラーの期待に応えようと、協力的に取り組んでしてくださっているときに起こるんですよね。


相談者さんに話をしていただくと、相手役さんにこんな風に困っているというお話をしてくださいますから、その困った事態を違った視点で見ることができるような質問、相手役さんにも善い意図があったと思えるようなものごとの見方ができるような質問を組み立てます。それで相手役さんと(もう一度)仲間になれるような目標と行動を一緒に探しに行ければ、そのカウンセリングは成功というかアドラー心理学がお役に立てる方向に進んでいくと思うのですが、相手役さんを裁いている姿勢、構えが変わらないままで、後半に膠着状態に陥りそうになることがあります。なんか決めに行ったはずの技をすかされてしまったプロレスラーの心境ですね(笑)。


自分の腕が悪いといえばそれまでなんですが、まだカウンセラーになる前、練習ではですね、そのままギブアップ、降参してしまうこともあったんですが(これ思い起こせば、カウンセリングを始める前からも相手と縦の関係になっているんですよね。カウンセリングが成功したらこちらの勝ち、失敗したら負けというような… これではアドラー心理学のカウンセリングが動くはずがないですよね)、カウンセラーになってからはギブアップするわけにもいかないので、最低限カウンセリングを始める前より悪くしないような落としどころを探る感じになります。


それで、人のよい相談者さんがその辺りを察知してくれて、自分から投げられに来てくれる感じで(笑)、落としどころを用意してくれようとされるんですね。で、それはたいてい、「私、もっとがんばります! 私ががんばれば、そもそもこういう困ったことは起きないはず」という感じの提案なんですよ。


でも、ですね、それを「いいですね! それで行きましょう」とカウンセラーが乗っかってしまうと、これはカウンセリングしなかった方がよかったくらいのことになってしまいそうです。相談者さんをカウンセリング前より悪くしてしまうという絶対カウンセラーがやってはいけないと野田先生がおっしゃっていたことをやってしまうことになってしまう危険があります。


なぜかというとですね、これ、そういう場面で相談者さんが提案してくださることは、もともとその相談者さんのライフスタイルに書いてあること、その人の大好きな方向の動きなんですよね。で、相談者さんが困っているのは、相談者さんのライフスタイルでは有効に対処できない事態が生じたからなんであって、要は相談者さんのライフスタイルが問題を引き起こしているわけです。で、アドラー心理学のカウンセリングは、その相談者さんのライフスタイルを緩める方向に援助したいんですよね、ライフスタイルが緩めばそれまで「存在の危機」と感じるくらいの緊急事態だったことが、それほどの問題とは感じないで済むようになって、自分も含めたみんなにとって協力的で効果的な対応ができやすくなるから。


それなのに、そのライフスタイルを強化する方向にお手伝いしてしまったのでは、相談者さんの人生は、ますますつらく厳しく苦しい方向に進んでしまうことになってしまいます。これはね、絶対避けたいんですよ。なので、そんなことがあると、すでに相談者さんがされている貢献やストレンクスを再確認しつつ「まぁそんな無理はせず、とりあえず様子を見ましょうよ」というような、こちらに協力してくれようとしてくれているお気持ちだけありがたくいただいておきますというような方向に、話の流れを変えて、落ち着いていただいて、クールダウンして終わるかなぁ、と思います。カウンセラーとしてはちょっと申し訳ない感じは残りますが…。

 

こう書いていて気づくのは、やっぱり一回限りのカウンセリングでどこを目指すのかは、とくに自分の場合は、欲張りすぎないのが大事だなぁとあらためて思いました。明日も一回限りのカウンセリングがある予定なので、自分の力を過信せず、相談者さんが来られた時より、少しだけほんの小さな一歩いや半歩でもよくなるように援助出来たら成功というくらいの気持ちで取り組んでみます。


読んでいただきありがとうございます。
みなさま今日もどうぞよい一日をお過ごしください。

生きとし生けるものが幸せでありますように。