アドラー心理学で一緒に考えてみませんか

アドラー心理学カウンセラーの鍵野が気になったことのあれやこれやを綴ります

劇的ビフォーアフター 何が違ったのか?

こんばんは、鍵野です。
九州から台風が抜けて、雲は多めですが何日かぶりに青空が戻ってきました。台風の影響を今受けている、これから受ける地域のみなさま、勢力は弱くなってはいるようですが、どうぞご安全にお過ごしください。


今日で8月も最後ですね。ここのところ毎日ブログを書いています。最初は100本書いたらそのくらいでいいかなと思っていたんですが、いつの間にか100本は大きく超えていて、これなら200本目指そうかという気になってきまして、それで最近は毎日書くようになって、投稿数を見たら今日で207本目になるんですね。そんなに書いたかなとちょっと驚きました。諸事情から途中10本くらい削除した記事があるんですが、それでも200本以上書けたというのは、質はともかくとして、よっぽどアドラー心理学とそれについて書くことが好きな証拠ではあるなぁと、あらためて思いました。


もともと日記としてではなく、アドラー心理学のことを書いておきたい、書きながら考えを整理していきたい、世の中の物好きな人たち、アドラーおたくというか(笑)、同好の士、アドラー心理学を学びたいという人たちの何かの役に立つかもしれないという思いで始めたブログでしたが、書きたいことは書けた気もしてますし、もう似たようなテーマで何度か書いているのもありそうで、無理やり書くものでもないし、宣伝効果は全くなさそうですし(笑)、9月からはしばらくお休みしようかなと思いながら、今日も書き始めています。


今日は、アドラー心理学を学ぶ前の鍵野だったらどうしてたかな?とシミュレーションしてみたいような出来事があったのでそれについて考えたいと思います。


お昼前に母から電話があって…

母:美容院に予約してるんだけど、列車走ってるかな? 12時過ぎので行く予定にしてたんだけど…
私:(そういえば、今日は静かだなぁ…(線路が目の前なので、いつもはときどき列車が通る音が響くんですが)と気づいて)走ってないなぁ… 台風の後だから止まってるかもしれないね
母:バスは走ってるよなぁ?
私:わかんないけど… 車で送るよ
母:いいの? わぁ、そうしてくれると助かる~。嬉しい~
私:じゃぁ、ちょっとしたら行くよ
母:1時になってもいいけん
私:うん。じゃぁ12時半に迎えにいくわ
母:はい。ありがとう。
私:はい(電話を切る)

こんなやり取りがあり、車で30分はかからないくらいの、佐伯市内の美容院への送迎をすることになりました。

美容院ということは、ある程度時間もかかるだろうし、マクドナルドかジョイフル(九州ではNO.1の大分発のファミレス)で本でも読みながら待つか…と、割と参考にしている、最近お亡くなりになった米国西海岸ワシントン州のアドレリアン、ヘンリー・スタインの"Demonstrations of Therapeutic Techniques"という本を用意して母を迎えに行きました。


美容院に送ったのが1時ちょっと前くらいで、最近はカフェイン断ちをしているので、マクドナルドよりは、ジョイフルのドリンクバーでいろいろ飲む方がいいかと思い、近くのジョイフルで待つことにしました。

ドリンクだけというのも何なので、チーズケーキもいただきながら、"Demonstrations of Therapeutic Techniques"に書かれているスタインとクライエントととの、デモンストレーションながらもリアルなお悩みを扱った真剣なやり取りに引き込まれていきました。"Socratic Method"とスタインが呼んでいる、アドラー先生譲りの、相談者の気づきを促す質問(ソクラテス的質問)に感心しながら、読み込んでいくうちに時間は過ぎ…、1時間、2時間と経過していきました。


母から連絡はありません。まぁ髪を染めたり、いろいろ時間のかかることもあるだろうしと、一応LINEで「終わるの何時ころになりそうですか?」と連絡を入れてから、また本に集中したり、疲れて、動画を見たりなどしていました。


3時間経ってもまだ連絡がありません。LINEも既読になっていません。まぁLINEを見ないのはいつものことなので…と、こんどはSMSで「美容院 何時ころ終わりそうですか?」とメッセージを入れました。


そこから30分ほどして、母から電話が入りました。

母:もしもし? まだ佐伯におるんよな?
私:うん
母:ごめんな~、私、携帯忘れてきて、バッグを変えたときそのままでなぁ… それで、Yちゃんに迎えに来てもらったんよ。それで、もう家におるんよ
私:そうなの? ならよかった
母:どう償ったらいいかなぁ… ごめんなぁ…
私:いや、いいよ。はい。じゃぁ…
母:…
私:(電話を切る)

その後、ジョイフルで会計を済ませてトイレを借りてから家に戻りました。家に戻ってしばらくすると、母が来て、申し訳なさそうに…

母:ごめんなぁ…、本当に。兄ちゃんにどう償ったらいいか…
私:いや、いいよ。誰でも失敗はあるから…
母:あんたは優しいからなぁ… おばちゃんが「○○だったら大変なことになるで~」って言ってたわ
私:まぁ、大丈夫でよかった
母:これなぁ、あそこで買ったパン。Yちゃんはいらんて言うけ~、それで、これが○○さんからもらった饅頭
私:ありがとう。明日にでもいただきます
母:ごめんなぁ…(私のいるリビングから出ていく)
私:よかった
母:(自転車で戻る)


陰性感情をチェックしてみると、2時間経過してまだ連絡がなかったときに、ちらっと「思ったより時間がかかるんだなぁ」という感じで -0.1 くらい。

3時間経過してLINEが既読になってないところで 「何かおかしいなぁ… ひょっとして家で待ってると思われていて、買い物とか済ませてから連絡しようとしてるかな」と想像して、-0.2くらい(携帯忘れてるかもの想定は全然しませんでした。これ、自分がほとんどしたことないので想像できてないんですね、今思えば。結構、あることなのに、母の場合は)。


電話があったときは、連絡がついたことでマイナスではなく+0.5くらいになって、携帯忘れたこと、家にいることもわかって、まぁよかったと、+1に増えたくらいでした。


そうだ、電話の冒頭の「ごめんなぁ…」のくだりは、電話の声がとっても申し訳なさそうにしているので、それはちょっとマイナスに感じてましたね。-1くらいですかね。そこから事情が分かって少しプラスに反転したという感情の流れだったように思います。


まぁ、美味しいチーズケーキは食べれたし、待ちが長いのでフライドポテトも追加で食べちゃえたし(笑)、スタインのカウンセリングの進め方も再確認できたし、迎えには行けなかったけれども(笑)、送ったことで母も目的が果たせたわけで、貢献(親孝行)もできて、よかったなと。戻る道中も、戻ってからも、いつもと変わらず落ち着いて過ごせました。


これ、もしアドラー心理学が身に付く前の鍵野だったらどうだったか? カウンセラー養成講座を受ける前の鍵野だったらどうだったかと想像してみるのも、面白いかなぁと思って、ちょっとやり取りがどう変わるか考えてみました。


先ほどのやり取りをベースに変えてみようと思って、今、気づいたんですが、昔の自分だったら、たぶん2時間経ったところで、「おかしい? なんかあったな」とジョイフルを出て、美容院に行ってますね(笑)。かなりの陰性感情を行動のエネルギー源にしながら、イライラした気持ちで美容院のドアを勢いよく開けている気がします。


結果として、今日の現実よりも早く、母が携帯を忘れてもう帰ったことを知ることができたかもしれないし、あるいはまだ美容院に母がいて、母を迎えに行くというミッションを達成することができたかもしれません。


できたかもしれませんが、感情的にはマイナスの波に翻弄されているでしょうし、何か嫌な言葉とか態度を母にぶつける結果になっていたはずです。どんな言葉や態度にしろ、母の勇気をくじく結果になっていたと思います。それを見て、そんなことをする自分がイヤになって、自分の勇気もくじいていたと思います。


一方、アドラー心理学が身に付いてから(カウンセラーなのでそういうことにしておいてください、一応)の現実の結果は、自分以外にも助けてくれる人がいて実際に助けてもらえてるという母の力は凄いなぁと思えるし、そういうことがあっても、よかった!と思える自分も、いいねと思えてるし、母も自分も勇気づけられたのではないかなぁという気がしています。


何が違ったのか?


アドラー前(笑)の鍵野は、いつでも自分の目標追及のために突っ走っていたと思うんですね。なので「美容院に母親を送り迎えする」という自分のミッションを達成するための道具としてしか母を見れていなかったのではないかと。それを邪魔するやつは許さん!という感じで怒りをぶつけていたのではないかと。


一方、アドラー後(笑)の鍵野は、「美容院に母親を送り迎えする」ということを、自分だけのミッションとしてではなく、母と作戦を練って作り上げた共同の課題として捉えていて、そのために「終わったら電話してね」「わかった」という、事前の取り決めを大事に、まずは電話を待つことを大切に、アドラー前よりも気長に感情を使わずにできたのではないかと思っています。そして、もともとの目的を達成することが大事なのであって、自分が活躍するとかは二の次で、状況が変わって役割が変わっただけだと冷静に受け止められたんだと思います。目的が果たせたのであれば、後はもう帰るだけだと(笑)。


母が携帯を忘れてきてくれたおかげで、あらためてアドラー心理学で学んできたことを確認できましたし、こうしてブログに書いてみなさんに紹介することもできたわけで、感謝しないといけませんね。


お母さん、(今日も)ありがとうございます!(笑)


アドラー心理学、いいですよ、本当に。


今日も読んでいただきありがとうございます。

みなさまどうぞよい夜をお過ごしください。


生きとし生けるものが幸せでありますように。