アドラー心理学で一緒に考えてみませんか

アドラー心理学カウンセラーの鍵野が気になったことのあれやこれやを綴ります

伯父との思い出

こんばんは、鍵野です。
今日はお世話になった伯父のお葬式がありました。伯父はお坊さんで、父親(鍵野の母方のおじいさん)の始めたお寺で生まれ育って、教員となり、中学校の校長先生を定年まで勤め上げながら、住職もされていました。住職を息子に譲ってからも、鍵野の家での法事でお経をあげてくださるなど、元気に活躍していました。先月の終わりころに悪くなって入院したと聞いていて、来週あたりには見舞いに行こうかなと思っているうちに、訃報が先に届いたのでした。互いに執着が残るほどの関係ではなかったし、お坊さんらしく?、かなり前からいろいろと準備をされている様子は聞き知ってはいたので、会えなかったことに後悔はありませんが、行こうと思えば行けたはずで、やっぱりこれも自分で選んだことだなぁとあらためて思いました。


自分のお寺でお葬式をするというのはお坊さんならではですよね。当たり前かもしれませんが、お坊さんがたくさんいらっしゃって、本堂には一般人よりもお坊さんの方が多いくらいで、大変迫力のある合唱のような読経が響いて、普通のお葬式とは違う感じがして、一緒に参列した息子も驚いている様子でした。伯父は昭和8年生まれだったそうですから、8歳くらいのときに開戦して、終戦を迎えたのが12歳くらいということで、大東亜戦争の直前から最中にライフスタイルを形成したんだなぁと、アドレリアンカウンセラーなので、そういう風に時間的なコンテキストに置いて人の人生を見てみたりするわけなんですが、戦争に向かっていく大きな流れの中で、小さな男の子がどんな思いで自分の人生法則を築いていったのかなぁと…。


この伯父との早期回想もあって、小学校低学年くらいのころと思いますが、釣りに行くのにリールと竿が欲しいとおばあちゃんにねだっている自分を見つけて、これで買っておいでとおばあちゃんがお金をくれようとしているその寸前のところで、こちらを咎めている感じの表情で伯父が割り込んできて、おばあちゃん(伯父からしたらお母さん)に、「そんなん買っちゃらんでいいんじゃ」「これで十分じゃ」「はい」と仕掛けのついた(ぱっとしない)長い竹の延べ竿が立てかけてあったのを持ってきてくれたのでした。欲しかったのは買えなくなっちゃったじゃないか、とがっかりしたけど、まぁそうだなぁ…と納得してるところもあって、おばあちゃんも「そうかい」という感じだったのでゴリ押しもできず、そのまま、がっかりした感じで頷いて、その延べ竿と餌とバケツを持って釣りに向かったというようなものです。

よくない思い出として記憶に残っていたのですが、今思えば、足るを知る「知足」がテーマの思い出なのかな、とても大事なことを教えてくださった気がしています。ありがたいことです。


亡くなったといえば、最近亡くなった方で、アドラー心理学関連の恩人がいらっしゃいます。ヘンリー・スタインさんです。2月3日に亡くなったと、日本アドラー心理学会掲示板でN先生が教えてくださっていました。スタインさんは、アドラーに還れという感じで、Classical Adlerian Depth Psychotherapy という一派をなした方です。米国のアドラー心理学のメジャーであるドライカース派とは一線を画する感じの方。どう恩人かというと、会ったこともないけれど、鍵野の目指すアドレリアンであるブルック先生を知ることができたのは、スタインさんが、ブルック先生の本"Classical Adlerian Brief Therapy"を出版してくださったからです。この本、何度も読んでいるのですが、読むたびに、凄いなぁ、相談者さんをこんな風に援助出来たらいいなぁ、こうなりたいなぁ、よし、やるぞ!と、勇気づけられています。相手が変わればアプローチが変わる、型にはまっていない感じに、ライブ感あふれていてクリエイティブな感じに、凄く惹かれます。

スタインさんありがとうございました! ご自身の著書からも、大いに学ぶことができました。ドライカース派ではない視点からアドラー先生に出会い直す機会も与えてくださいました。


こうしていろんな方がこれまで生きてきて、その方たちの貢献があって、何かを学ぶことができているんですよね。これからもそんな大それたことはできませんが、鍵野も生きている以上は、何かできることで、無理して高い道具をねだらず、延べ竿なら延べ竿にできる貢献をして暮らしていこうと思っています。


ドイツで開催されるICASSI(ドライカースサマーセミナー)2024の募集が始まっていて、もし参加するならかかるであろう費用がおおよそわかったのですが、うーん、さっきの早期回想ではないですが、ここは奮発して(来年、再来年の稼ぎにおねだりする感じ)、リール竿で遠くのドイツまで仕掛けを放り込むのを目指すよりは、延べ竿で届く範囲の国内の学びの機会の方がかえっていいんじゃないのかい?という、ありがたい忠告のような気もしてきました。足るを知る…か、伯父さんも、じいちゃん(伯父さんのお父さん)も言ってたっけ…。


読んでいただきありがとうございます。

みなさまどうぞよい夜をお過ごしください。


生きとし生けるものが幸せでありますように。