こんばんは、鍵野です。
数日前から外に出ると金木犀の香りを感じるようになりました。少しひんやりとした空気に淡い金木犀の香りを感じられるこの時期が一番好きです。別に金木犀がこちらを喜ばせようとして咲いているわけではないはずですが、その香りで瞬時に気分が変わってしまうくらい、人は環境とつながっていて、一瞬一瞬止まることなく流れ続ける無常な存在であることを改めて意識しました。
金木犀の香りが正しくて、同じく秋をイメージさせる銀杏の匂いは臭いから間違っているというわけでもなく、こちらの好き嫌いに過ぎないわけで、智慧ある人であれば、どちらにも価値を入れずに、ただ単にそれぞれを香りとして近づけも遠ざけもせずありのままに知るのでしょうけれど、その域に到達するにはまだまだ修行が必要ですね(笑)。精進します!
さて、アドラー心理学の話題ですが、先週金曜日から昨日までの3日間、日本アドラー心理学会の総会学術集会にオンラインで参加しました。年に一度開催される大きなイベントで、今回が第41回ということですからもう40年以上も続いているんですね。総会の後に、学術集会があって、シンポジウムや講演に発表と盛りだくさんの内容で、久しぶりに疲れるくらい勉強しました(笑)。
日本アドラー心理学会は野田先生がお亡くなりになられる前と後で大きく変わりました。鍵野は2017年に会員になったばかりなので、40年以上の歴史のある学会の中では、まだまだ最近入った人なわけで、いろいろ事情を知らないまま、私利私欲、自分の学びたい欲望に任せて学んでいただけだったので、その大きな変化の背景などよく知らなかったんですが、以前メインストリームで活躍されていた先輩方先生方が表舞台からいなくなり、新設された野田俊作顕彰財団(AIJ)に活躍の場を移すなどされ、代わって、恐らく野田先生にかなり遠慮されていたであろう古参会員である大先輩方がのびのびとその力を発揮されて、学会をリードする流れができているように感じています。
流れの変わった当初は、野田先生が晩年に開発された「エピソード分析」を日本アドラー心理学会では学ぶことができそうもない体制になったことで(研究・発表することがタブーとまではされていないと思いますが)、大変残念な気持ちもありましたが、数年経過した今の状況を見ると、日本アドラー心理学会と野田俊作顕彰財団とそれぞれ違ったカラーで、でも、元はみんな野田先生のお弟子さん・生徒さんですから、ちゃんとしたアドラー心理学をそれぞれの強みを活かしながら伝えていけているわけで、これはこれで、よかったのかもなぁと思えてきました。今回も、学会の発表のいたるところで野田先生の名前が出てきましたから。みなさん野田先生を敬愛していることには変わりないんだよなぁと思っています。
鍵野は日本アドラー心理学会と野田俊作顕彰財団と両方の会員(会友)なのですが、野田俊作顕彰財団ができて、学会はぬけて野田俊作顕彰財団オンリーとなった先輩方も数多くいらっしゃるという要因が大きいのではと思っていますが、一時期千人いたという日本アドラー心理学会の会員数は数百人単位で大きく減っているのが多少気掛かりではあります。それでも意欲的にいろいろなことに取り組まれているので、また新しい会員さんが増えていくのかもしれませんが。
それで会員数という話題でかなり驚いたのが、国際アドラー心理学会という、日本アドラー心理学会も加盟している、様々な国のアドラー心理学団体が加盟している国際学会があるのですが、そこの全会員数がたしか5千人もいないんだそうです。え? たったの? と思いました。アドラー心理学、全然普及してないやん! だからあんなに戦争紛争があるんだよ、なぁんて思ったりしました。で、とすると、もう今は日本アドラー心理学会員は千人はいないですけど、たとえば700人としたら、国際アドラー心理学会員の7分の1が日本アドラー心理学会員ということになるわけで、これも凄くないですか?
野田先生凄い!と思いました。パセージ中心にお母さん中心に自助グループを全国に起ち上げていって、援助職についているわけでもない、おばちゃんおじさんに根気強くアドラー心理学を伝えていった、その方針のおかげではないかなと。その反面、学会員は修士卒に限るとか、アカデミックに振り切れない分、学会活動が公的資格のクレジットにもならないし、援助職に就いているプロフェッショナルへのアドラー心理学普及には足かせとなった面もあるんでしょうけれど、一部のプロの仕事道具になるのではなく、一般の人にアドラー心理学が浸透していく姿の方が、創始者のアドラー先生がより望まれていた姿なのではないかなと、思っています。
世界人口は60億人かなと思っていたら、もう80億人に達しているんだとか。国際アドラー心理学会員数=アドラー心理学実践者数ではないから、単純計算はできませんが、それでも、かなりバブリーに甘く見積もって学会員が一人いたら百人のアドラー心理学実践者がいると思えと言えたとしても、五千人×100=50万人、生産人口を6割と見て、80億人×6割≒50億人で、50万人/50億人、1万人に一人という普及率では、世界平和は遠いですね…。日本に限ってみれば、日本人の生産人口は約7500万人、AIJも入れて会員が千人いるとみて、千人×100=10万人(10万人もいる気はしないけど(笑))、10万人/7500万人、750人に一人でアドラー心理学が普及しているとしたら、やっぱり日本はアドラー心理学先進国だなぁ(笑)。野田先生、先生方、大先輩方、諸先輩方、アドレリアン諸氏の努力の賜物です。凄い!
いつかアドラー心理学が当たり前になって、誰も意識しなくなって、「アドラー心理学」という言葉が忘れ去られる未来をアドラー先生は望んだということですが、本当にそうなって欲しいです…っていうか、そうしないとですね。今生での実現は無理だとしても、それでも一歩でも前に、目の前のアドラー心理学を必要とする人に、野田先生を始めとする諸先生方、諸先輩方から教わったアドラー心理学を伝えていくことをやっていきます。
今日もアドラー心理学をまったく知らない人が、アドラー心理学のカウンセリングだからというわけでもなく相談に来てくださって、お話をしてくださって、それにわざわざアドラー心理学というラベルは貼ってはいないんですが、鍵野と一緒に考えていく中で、自ら勇気づかれて、とっても大事なことを持ち帰ってくださいました。鍵野もその方に助けられました。ありがとうございます!
読んでいただきありがとうございます。
みなさまどうぞよい夜をお過ごしください。
生きとし生けるものが幸せでありますように。