アドラー心理学で一緒に考えてみませんか

アドラー心理学カウンセラーの鍵野が気になったことのあれやこれやを綴ります

早期回想を読む

こんばんは、鍵野です。
明日は(もう今日になりそうですが(笑))、午後2時から野田俊作顕彰財団(AIJ)の新春オンラインシンポジウムがあります。テーマは「アドラー心理学の、しあわせのかたち ~平等の位置~」ということです。楽しみですね~。「平等の位置」ってアドラー心理学の真髄という感じがして、とっても心惹かれるテーマです。もちろん鍵野も参加します。参加予定の方がいらっしゃったら、画面越しにお会いできるのを楽しみにしています。


仕事柄、早期回想を聞くことがよくあります。っていうか、そもそも、早期回想を聞く仕事って、アドラー心理学のカウンセラー以外ないんだと思いますが(笑)。早期回想というのは、小学校卒業くらいまでの思い出で、はじめと終わりがあって、感情を伴ってありありと思い出せるものであれば、どんなものでもいいんです。そんな大層な事件である必要はまったくなくて、ちょっとしたことでも、ただその人がそれを覚えているということに重要な意味があるので。それで、できたら小学校入る前くらいの5~6歳くらいの思い出だといいんですね。ここで「いい」というのは、都合がいいくらいの意味ですが、まぁ小さい頃の思い出の方がお話がシンプルでわかりやすいからです。鍵野がここで書いているような長~い文章(笑)を小さい子はしゃべらないので、仕事が早い(笑)。


相談者さんと一緒に書き出した早期回想を前にして、そこから強み、ストレンクスを、最初はあまり深読みせず書いてある通りに読んでいきます。相談者さんの反応を見ながら、進めていきますが、ご本人がネガティブなイメージを持っている思い出でも、慣れれば強みだらけの話として読んでいけます。「それも強みになるんですか?」という感じで、半信半疑的な感じになりながらも、明らかに「それはないわ」というのは却下しますが却下するのはたいてい1個とか2個くらいで済んで、「そう言われるとそうなのかなぁ?」というものが大半で、認識反射(目を見開いたり、笑っちゃったり、背筋が伸びたり、人それぞれですが身体が反応してくれるやつです)が出て、「それ当たり!」というやつが何個か出るくらいかなぁ…。それから、今度はその出したストレンクスを掛け合わせたり、こういうストレンクスがあるんならこういうこともできる人なんじゃないかとか推測を入れて、お会いしてからこれまで収集してきた情報(立ち居振る舞い含め)とも綜合しながら、その人らしい創造的な力を挙げていきます。ここで大きく身体が緩む方が多いです。特にご本人がネガティブだと思っている思い出にも、ご自身が小さなころから生き抜いてきたその人らしい創造的な生きる力が表れていることに気づかれて、驚きながら、ホッとするというか、なんか肩に入っていた力みが消える感じ、表情も緩んで、人それぞれですが、泣いたり笑ったり、いろんな表現をされることがあります。


そこから先の展開ですが、まだまだ何回も来てくださる予定があれば、その方の目指されている方向や引っかかっているところ、全体としての動き、まぁライフスタイルですが、そこはもう少し先で一緒に言葉にしたいと思っているので、こちらからの解釈投与はせず、この時点で気づいたことをお話してもらいます。最初に現在の問題について少しお話を聞いてはいるので、そことの関連でみなさん何かの洞察をされます。それがいいとか悪いとかはなくて、そうなんですね、というところで、いったんその回は終わる感じが多いと思います。


何かの事情でこの回限りとか、しばらく来れないとかであれば、普段の暮らしの中で、ご自分でチェックしていけるような何か言葉を持って帰ってもらいたいので、ライフスタイル全部というのではなく、その思い出で読みやすい方、プラス(優越目標)かマイナス(劣等の位置)を、いくつか対話をしながら、この時点で相談者さんがしっくり来る言葉をとりあえず持って帰ってもらいます。それで、「ああ私っていつもこうなんだなぁ…小さい頃のままだ」というのを、これでもかと(笑)ご自分で確認してもらいたいなぁと思っています。


それで、こうやってカウンセリングをしているとですね、毎週とは言わないまでも、やっぱり2週間に1回くらいは来て欲しいなぁと思うんですね。2回目はここまで、3回目はここまで進んで…とか、本格的に取り組みたいという方であれば、最初にお話をお聞きすれば、ある程度組み立てができるんですが、間が空いてしまうとやっぱり間延びする感じもあってですね、ちょっともったいないなぁと思うんです。でも、まぁこんな田舎で営業しているのはこちらの都合なので、たまにでも、来てくださるだけありがたいと思っています(笑)。


と、今日は早期回想を使ったカウンセリングのお話をしてみたんですが、これはやっぱりいかにもアドラーっぽくていいなぁと思うんですよね(笑)。じつは(前にも書いたとは思いますが)、鍵野の場合、経営コンサルティングでもそれが有効と思えば、早期回想を聞きます。その経営者のことがよくわかりますし、その方の優越目標とか劣等の位置がわかれば、その方のライフスタイルにあった経営計画を提案できるからです。そして、これも当たり前かもしれませんが、職業選択とか、学問、学校の選択なんかのときにも、早期回想を聞いて一緒に考えると、いい判断材料を提供できると思います。いろんな援助の可能性のあるアドラー先生が人類に残してくれた宝物だと思います、早期回想分析、そしてライフスタイル分析は。


興味を持たれた方は、イバラの道は承知の上で(笑)、アドラー派のカウンセラーを目指されてみませんか?

 

言葉で人を援助することに興味がある方であれば、こんなにチャレンジングで楽しく厳しく成長を実感できる学びは他になかなかないのではないかと思います。儲かりはしませんが(決めつけてはいけないけど(笑))、副業から始めてもいいかもしれないし、全然稼がなくてもいいかもしれないし、いやいや、本格的に公認心理師とかになって心理職として就職して、さらに臨床の力を向上させるために学ぶ方もいらっしゃるかもしれませんね。


訓練が必要なことなので、いきなりできるようにはなりませんが、でもやらないとできるようにならないので、鍵野も決して上手なわけではないですが、でも「ライフスタイル分析のできないアドラー派のカウンセラーは存在しません」という野田先生のお言葉に勇気づけられて、アドラー派のカウンセラーとしてみなさまのお役に立てるよう、これからも精進していきます。


読んでいただきありがとうございます。
みなさまどうぞよい夜をお過ごしください。

生きとし生けるものが幸せでありますように。