こんばんは、鍵野です。
昨日は、福岡での練成講座継続学習会(「エピソード分析」の自主学習会)に参加しました。少人数ではありますが、新しいメンバーも加わって、とても充実した学びの時間を過ごせました。
福岡へは、貧乏だからというわけでもなく(笑)、野田先生の音声講座(野田俊作ライブラリ)を聞きながら、下道をゆっくり、いくつかコンビニに寄って休憩しながら片道5時間半くらいかけて行ってます。この時間も疲れはしますが、楽しいんですよね。まだ聞いてなかった講座をいくつもプレイリストに入れておいたので、帰りも、あっという間(言い過ぎ(笑))の5時間半でした。
それで学習会なんですが、今回も実習をさせてもらったのですが、早期回想ではないけれど、思い出をきっかけに、現在のエピソード分析に入り、ご自身の価値観を調べて、気づきを得て、代替案も見出したうえで、最後にもう一度思い出に戻って、同じ価値観を思い出でも使っていたという、その方にとって大切な洞察を得てもらうことができたようです。このカウンセリングでのやり取りの中からも見えてくる目の前の相談者さんのライフスタイルを意識しながら、少しでもその辺りの洞察が得られるような流れはデザインできたのかなと。
こういう流れを作れたのは、仕事としてのカウンセリングでも、必要そうな方にはライフスタイル分析を提案して、実際に行うようになったのが大きいなぁと思っています。何が何でも、まずエピソード(陰性感情を伴うある日あるところで起きた一回だけのできごと)を採取という、動きをしなくてもよくなって、自分が得意とかできるとか、こちらの都合ではなく、目の前の人に一番役に立ちそうな方向に自由に動けるようになった感じがしています。
以前にN先生に心理療法(サイコセラピー)とカウンセリングの違いについて聞いたことがあって、欧米の先生でもそこをはっきり分けていない人もいるし、N先生ご自身もはっきり分けてはいないというような話をされていたと思います。カウンセリングとサイコセラピーを分けたのはドライカース先生で、アドラー先生自身はサイコセラピーしかしてなかったという話も聞いたことがあります。カウンセリングは問題解決それ自体を目的としていて、サイコセラピーはその人の成長によって問題だったことが問題ではなくなってしまうことを目指すものだと理解しています。
今回のような一回限りのカウンセリングというわけでもない、実際のカウンセリングでは、最初の方で相談者さんと、当面の具体的な問題解決を目指すことでいいのか、一網打尽的に少し時間はかかっても、ご自身が成長されることで多くの問題が起こらなくなるようになるところを目指すのか、話し合います。たった一回の問題解決的なカウンセリングだけで、もちろんその方が様々に努力されたからでもあり、周りの人の助けがあったからでもあると思いますが、ずいぶん楽に暮らされるようになる方もいらっしゃいます。なので、問題解決のカウンセリングに意味がないわけではないんですが、数回かけてご自分のライフスタイルをじっくり一緒に見ていった結果として、問題が起きにくくなる、問題が問題に見えなくなってくる、という仕事の方が、やっぱりアドラー心理学らしくていいなぁと、カウンセラーの好みということかもしれませんが、思っているところがあります。
ありますが、一回だけのカウンセリングで相談者さんにしっかり気づいてもらって、自分のためだけでなく、自分も入れたみんなのために動けるように勇気づけることができたとき、それはそれで、ドラマチックというか、さっきまで相手を悪い人と裁いていた人が、相手を仲間として尊敬、信頼して、協力の方向へ動く決断をされたときの、あの感動は、また格別ではあるんですよね(笑)。これができるのがカウンセラー試験の合格のために必要なことだったりもしますし。
他に、カウンセラーを目指されている方も「エピソード分析」によるカウンセリングの練習を、おそらく初めてだったと思うのですが、チャレンジされました。クライエント役も、たぶんみんなの前で相談するのは初めてというこの学習会初参加の方が買って出てくださいました。みんなの協力もあって「エピソード分析」の肝である、クライエント役さんの無意識的な理想であり、願いである、仮想的目標をしっかり出すことができてました。あまりいっぺんに欲張らずに、今回はその辺りまで進められたところでカウンセリングとしては終わりになりました。
その後、その仮想的目標を協力的だと思うか競合的だと思うかというところで、何をもって協力的、競合的とするのかという、カウンセラー役の方の疑問から始まった重要なディスカッションもあり、カウンセリングのゴール(何を持って帰ってもらうか)から逆算して便宜的に決めている感のある鍵野も、そもそも競合と協力って?というところで、あらためて考えさせられるいい時間でした。たしかに、目標を出したところでの気づきにフォーカスすれば、その目標が協力的なのか競合的なのかを、相談者さんが学ぶ大事機会ではあって、特に今回のように、カウンセリングが最後まで成立することは想定していない状況下では、かなり慎重に扱った方がいいんだなぁと、今、書いていいて、人に「エピソード分析」を伝えるときにとても大事な視点だと気づきました。
カウンセラーとして、最後まで責任を持って相談者さんと一緒に旅をする流れの中では、あえて目標自体は競合的な感じだけど、いったん「協力的」と取っておいて、後でひっくり返す感じで、気づいてもらうことでより効果的に学んでもらうなんて動きをすることもあるんですが、自助グループの「エピソード分析」では必要がないことだし、カウンセリングの手順を追う段階の人には無用な混乱を招くだけだなぁとわかりました。ディスカッションを引っ張ってくれたY先輩のおかげです。ありがとうございます!
練度の合った人同士の本気のぶつかり稽古もとっても大事なんですけれど、やっぱり、こうしていろんな学習段階の人が一緒に学ぶことも、互いにとって大きな気づきもあって、大切なことだなぁと思いました。
読んでいただきありがとうございます。
みなさまどうぞよい夜をお過ごしください。
生きとし生けるものが幸せでありますように。