アドラー心理学で一緒に考えてみませんか

アドラー心理学カウンセラーの鍵野が気になったことのあれやこれやを綴ります

課題の分離は冷たいのか

<2023年11月18日wrote>
こんばんは、鍵野です。
今日は月一回の大分市稙田公民館でアドラー心理学を伝える日でした。
参加者が少ない分、オンデマンドで質問にお答えしながら、濃密に大事なことを伝えられた気がします。
やっぱり、ライブがいいですね。相手の反応を直に感じながら、結果として、毎回、説明の仕方は変わってくるんですが、適度の、これから時間をかけて解消していくであろうクエスチョンマークを残しつつ、本だけではわからない何かをつかんで帰っていただけたかなと。「贅沢な時間」とおっしゃってくださいました。こちらこそです。こんな幸せな時間はなかなかないんです。自分がすごく大事だと思って学んできたことを、熱心に集中して大切に、大事に受け取ってくださる人が目の前にいらっしゃるというこんな時間は。毎回、貨幣価値では計れない(お金の+-で言えば、完全にマイナスですが(笑))、充実感と喜びがあります。これが仏教のお師匠様のおっしゃていた布施の心なのかもしれないなぁ…とも。
 経営関連のセミナーでは、毎回テーマに沿って用意したパワーポイントを使うんですが、アドラー心理学はコンパクトだし、その会のテーマと時間に合わせて、持って帰ってもらえる何かが出ては来るので、基本ホワイトボードだけでお伝えしています。細かく話すことを用意しない方が、自由があって話していて楽しいし、結果として参加された方の納得感も高そうなので、当面はこのスタイルでいこうと思っています。
興味を持って聞いてくださる方が、わかりやすい反応を示してくれて、質問もしてくださったりしてこそ成り立つスタイルだと思います。話す人聞く人、みんなの協力があって初めて成り立つこの時間のありがたさに深く感じ入りました。人とのコミュニケーションは、それがどんな形であれ、常に共同体感覚の実験室なんだなぁとも。やっぱりありますね、そこにはアレが…。今日もしっかりそれを感じて、少人数で濃く伝える方が自分に合っていることを再確認できましたし、来年も続けていこうと勇気づけられました。
それで、今日、参加者の方から「課題の分離」について少しお話がありました。必要だと思うんだけれども、子どもに対して、冷たくなってしまうというか…これでいいのかなぁと気になるというような話でした。この「課題の分離」は、あの青いベストセラー本がオリジナルではなく、「親業」の"Problem Owner"という考え方をアメリカのアドラー心理学の親子教育プログラムがアドラー心理学で扱えるように取り入れて、それを、野田先生が過干渉気味の日本の親にとって大事な学びとして紹介されたということです。パセージだと、第3章のテーマとして出てきますが、これ、この「課題の分離」だけで終わってしまうと、たしかに「冷たい」感じがしますね。でも、次の第4章のテーマは「共同の課題」ですが、ここで親子が協力して一緒に課題に取り組むことを学ぶんですね。そのとき、いったん課題を分離しておかないとですね、効果的に協力して取り組めないからこその「課題の分離」なんですね。誰がどこからどこまで担当するのか、しっかり役割分担して取り組むのが「共同の課題」です。ぐちゃっと子どもの課題だか親の課題だかわからないまま、取り組んでしまうと、余計な手出しをしてしまったり、逆に必要な手助けができていなかったりして、結果として課題を協力して解決することができずに、子どもにも自分にも勇気くじきをしてしまうことになってしまいます。で、この「課題の分離」と「共同の課題」、パセージでは章は隣り合っているんですが、そこには、大きな大きなギャップがあるんですよね。もともと上手に協力してきた親子ならいいんですが、でもそういう親子関係が築けているのであれば、そもそもパセージは受講していない気もするので、なかなかそういう条件は揃っていないんですね。それで、親子が協力して「共同の課題」に対処していくには、親子関係の改善、親が陰性感情なしに子どもとコミュニケーションが取れるようになっていることが条件になるので、それで、ですね、パセージ第3章で課題を分離するとですね…そのまま分離しっぱなしで、子どもは大人になり巣立っていってしまったという話になることもないわけじゃないんですよね。これはちょっと冷たいというか悲しいというか…、まぁ憎み合って傷つけ合うよりはましでしょうが、せっかく何かの縁で親子になったのに、もったいないなぁと思ってしまいます。なので、ここのギャップをですね、できるだけ早く楽にくぐり抜けられるといいなぁと思うんですが、子どもを尊敬、信頼して、子どもからも尊敬、信頼されて、陰性感情を使わずに、いちいちの課題に対して必要があれば目標を一致させて協力できるようにですね、なっていただきたいと強く思うわけなんです。
それでも、やっぱり、人によりますよねぇ…ここのギャップに橋を掛けられる時期がいつになるのかは…劣等感の深い人、つい子どもに対して強い陰性感情で対応してしまう人は、しっかりご自分のライフスタイルを意識できた方がいいのかなぁとも思います。引きの強い人、パセージのロールプレイで効果的な対処行動を探って当たりくじを引けた人であれば、案外早く変われるのかもしれませんが、なかなかですねそんなに運のいい人ばかりでもないので(笑)。もちろん多くの方はパセージ受講で、親子関係を改善されるわけですが、中には、より精度の高い、かっちりアドラー心理学の理論に沿った代替案を必要とされる方もいらっしゃるのでですね。その精度の高い代替案は、パセージプラスを受講すれば得られるのですが…パセージ1クール2ヵ月×2+実践期間半年×2の後にパセージプラスを受けると考えると、1年半くらい待たないといけないことになってしまう(笑)。 
ということで、パセージ受講後に「課題の分離」関連のモヤモヤが残って悩まれているようであれば、アドラー心理学カウンセリングを受けることで、手っ取り早く解決できるかもしれませんよ、という宣伝でした(笑)。
今日も読んでいただきありがとうございます。
みなさまどうぞよい週末をお過ごしください。
生きとし生けるものが幸せでありますように。