アドラー心理学で一緒に考えてみませんか

アドラー心理学カウンセラーの鍵野が気になったことのあれやこれやを綴ります

人生を変える取っ手

<2023年11月5日wrote>
こんばんは、鍵野です。
3連休の真ん中で、暁嵐の滝を観に来る方も多いようで、うちの前の細い道を車やバイクがたくさん通りました。離合するには細い道なので、対向車をやり過ごすのに、うちの前のちょっと空いたスペースが、役に立っています。国道に出るまで、そんなところが何か所もあるおかげで、みんなの車生活が成り立っています。私も車に乗るわけで、お互い様ですよね(軽に替えてからずいぶん楽になりました)。そんな風に、人間どこでも譲り合わなければにっちもさっちもいかなくなります。それぞれの目指すところは違うけれど、その目的達成のために、同じ社会のリソースを分け合って譲り合って暮らしているんですよね。
 それにしても、車の運転にはその人らしさが出やすい気がします。3車線の道路で、右に行ったり、左に行ったりして、とにかく前に前にというアグレッシブな方もいるし、周りの車の流れは気にせず、ずっとマイペースに低めの速度で走っている方もいますよね。自分の運転じゃなくて、助手席にいるときにかえって自分のクセがよくわかる人も多いかもしれません。「今、いけたのに~、もう~」とか「さっきのところ左に入ったら、近かったのに」とか、助手席にはないのにも関わらず、ついブレーキがついているかのように何度も床を踏みつけてしまうとかですね。
さて、みなさん事故は起こしたくないわけで(自殺したいとか、犯罪レベルの特別な目的がない限り)、安全に目的地までドライブしたいというベーシックな目標については、互いに賛成できているからこそ、協力して、ときどき残念な結果も起こるとはいえ、多くの場合は無事に目的地にたどり着けていると思います。たぶん、道路上で、いちいち自己紹介をしている暇はないので、その場で初めて会った人とでも互いの目標達成のために協力する力を持っているんですよね、私たちは。けたたましい音を出して集団でバイクを走らせている若者も、よく観察すれば、ちゃんと協調して走っています。もちろん信用金庫の職員さんのようにお行儀よく走っていては、彼彼女らの、できれば捕まらない程度に、みんなで興奮しながらおじさんおばさんが支配している(かのように見える)社会秩序に反抗してみるというような目的が達成できないでしょうから、ある程度のやんちゃなことはするけれど、また次がありますからね、無茶はしない(鍵野が中高生の頃は凄かったようですけれども、全盛期で)。
アドラー心理学カウンセリングでは、相談に来られた方の最近困ったできごとをお聞きして、その出来事での相談者の願いは何だったのか、その目標を分析します。それで、その目標が共通感覚から見て、そして共同体感覚から見て、相手にとっても、達成してもいいものであれば、それでも実際は達成できなかったからこそ相談に来られているわけですから、どうしたらその目標が達成できるか、今度似たようなことが起きた時にどんな行動をしたらうまくいきそうかを一緒に考えます。その目標が達成するとよくないもの、相談者は満足しても、相手が満足しない目標だったり、共通感覚、共同体感覚からして、達成しない方がよさそうな目標だったときは、相手も自分も満足して、共通感覚、共同体感覚にもかなった新たな目標を一緒に探していきます。そして、その新たな目標を達成するための行動を考えていきます。要はそれだけです。それだけなんですが、みなさん自分と相手とどっちが上か下か、どっちが正しいか間違っているか、どっちが美しいか醜いか、どっちが優れているか劣っているかなどなどを争う、競合的な暮らしの中で育ってきて、息をするように自然に上手に自分だけの目標追求に向かってしまうので、なかなか一人では自分も相手も満足する協力的な目標を探すことが難しいんです(かく言う鍵野もそうでした)。それで、アドラー心理学カウンセラーの出番となるわけですね。カウンセラーと一緒に考えると、それまでと違う方向に踏み出す勇気が湧いてくるんですね。それで、一歩踏み出して、実際の暮らしの中で似たような場面で違う行動を取ることができれば、相手の反応が変わります。すぐにうまくいくとは限りませんが、いろんな方法を試しているうちに、相手の反応が良い方法がみつかれば、人はその結果に味を占めて、協力的な人に実際に変わっていきます。協力的な人はどうしたって周りの人と仲間になりますから、共同体に貢献的に所属することになって、幸せになります。と、それだけのことなんですね、アドラー心理学の実践というのは。何かできごとがあるたびに、自分のためだけでなく相手のためにもなる、みんなのためになる目標を設定して、それを実現するための行動を選択する。うまくいくときもうまくいなかないときもあるけれど、それを続けていくということです。続けていけば、やがて自分の周りはいい人ばかりに変わっています。互いのため、みんなのためになる目標を目指して協力する仲間ばかりになります。
野田俊作顕彰財団(AIJ)の基礎講座応用編やパセージ・プラスで教わる「エピソード分析」という方法を使えば、コツさえつかめば自分でも自分の目標が分析できるようになります。最初はパセージ・プラスリーダーやカウンセラーに手ほどきしてもらって一緒にやった方がいいと思いますが、慣れてくれば自分でやっても大丈夫です。野田先生は「砂粒磨き」とおっしゃっていましたが、日常のちょっとしたやり取りのなかでの自分の行動を「エピソード分析」をして協力的な方に変えていくこと、変えた自分の行動とその行動に対する相手の反応を見届けること、その繰り返しでしか人は変われないと思います。人生を変えるための取っ手は、あなたがそのとき選んで実行することにしか付いていません。一緒にチャレンジしてみられませんか?
読んでいただきありがとうございます。
みなさまどうぞよい休日をお過ごしください。
生きとし生けるものが幸せでありますように。