アドラー心理学で一緒に考えてみませんか

アドラー心理学カウンセラーの鍵野が気になったことのあれやこれやを綴ります

仕事のタスク

<2023年10月27日wrote>
こんにちは、鍵野です。
最近、面白い記事を読みました。親の学習したことが、子の遺伝子発現を修飾する形で伝播するという衝撃的な内容でした。線虫での研究で、人間でも同じことが起きているのかはわかりません。緑膿菌を食べた線虫は死んでしまうんですが、その前に子孫を残します、そして、驚くことにその子孫は緑膿菌を回避するんだそうです。神経系で起きたことが生殖細胞に伝わって、遺伝子そのものが変わるわけではないけれど、遺伝子の発現の仕方を変えて、子孫に伝播するんだそうな。びっくりしましたが、そうだよなぁ、こんなことでもなければ、自然選択だけで、生き残るには、相当ランダムにいろんな子孫を作って、ごく僅かが生き残るということでは、エネルギーの収支が合わない(そんなたくさん子孫作るエネルギーないやろ)と思っていたので、少なくとも線虫は親が経験した環境に有利な子孫を作っていたという事実は、生物進化を説明する大きなミッシングピースが埋まる可能性を秘めた大きな一歩と思いました。
 そして、さらに飛躍して…、アドラー心理学を学んだ親が、子どもを育てて、その子どもが親になって子どもを産んだとき、ひょっとしてアドラー的進化が遺伝子発現のレベルで起きるのではないか、そうしたらついに人類は本当に平和に平等に暮らせるようになるかも…なぁんて夢想してしまいました。いつか孫ができたら観察しよう! ナチュラルボーンアドレリアンだったらいいなぁ~。 将来の楽しみが増えました。アドラー心理学カウンセリングはいらなくなるな、そのうち(笑)。
さて、以前にも書きましたが、アドラー心理学では人生に降りかかってくる課題をライフタスクと呼んでいて、仕事のタスク、交友のタスク、愛のタスクの3つに分けています。捉え方はいろいろあるんですが、今回は、仕事=職業、交友=社交、愛=家族のことにしておきます。それで、これらのタスクのうち一番解決しやすいのが仕事のタスクで、たいていの人はここは解決しているから、収入を得て社会に所属して暮らせています。友達もいないし、家族ともうまくいっていない、でも仕事はちゃんとしてるし充実感もあるという人は、たくさんいると思います。逆に一番解決が難しいのが愛のタスクで、仕事は充実している、友達とも楽しくやっている、そんな人でも、夫とは…妻とは…子どもとは…親とは…などなど、ここに何らかの課題を抱えて暮らしていると思います。3つのタスクのどれも問題なく充実して暮らせている人がいたら、本当に幸せだと思います。世の中は広いもので、アドラー心理学の助けなしに、そういう状態で暮らせる人もいるんですよね、ステキです(でも、アドラー心理学が生まれて、深層心理学の老舗とはいえ、たかだか100年ですから、人類数万年の歴史で、幸せな人は数えきれないくらいいたでしょうし、当たり前のことかもしれませんね)! 
カウンセラーは相談に来られた方の話を聞いて、3つのライフタスクのうち、どの問題かなと考えます。それで、数の面から言うと、2つ以上のタスクで困難な状態にある人は、わりと悩みが深いかもなぁ、解決まで時間がかかるかもしれないなぁと考えます。種類で言うと、仕事のタスクで困難な状態にある人は、仕事で困ってしまうということは、残りの2つのタスクはもっと大変だろうなぁ(ご本人は自覚していないことも多いかもですが)と考えます。ただし、(この人にパートナーとのことを相談しても大丈夫かしらと)カウンセラーを試す目的で、まずは仕事上のちょっとした問題を相談するというのはあると思います。それは、まぁ、お話を聞けばわかります、仕事自体が本当に深刻な問題になっている人かどうかというのは。
これは、アドラー心理学がというよりは、鍵野がと言った方がいいかもですが、仕事について、本当はそう深刻な問題であるはずがないと思っています。周りを見渡せば、様々な職業があります。時代や国、地域によっても需要の多い職業もあるしそうでない職業もあります。また、同じ職業の中でも、分業化されていて、求められる適性が全然違うことも少なくありません。鍵野が経験した仕事の一つであるソフトウェア開発の世界でも、プログラミング、設計、品質保証、ユーザーインターフェースデザイン、プロジェクトマネジメント、要求仕様定義、などなどいろんな仕事がありました。鍵野の場合、好きだったのは設計(オブジェクト指向設計)だけど、向いていたのはプログラミングだった気がしています。また、経営コンサルタントとして、いろんな業界のコンサルティングもしてきましたが、ある程度の規模の組織であれば、どんな業界であろうとも、ほとんどの人が自分の適性にあった仕事をみつけられるはずです。なので、仕事で悩んでいると言っても、その仕事自体がどうこうという問題ではなくて、やっぱり人間関係の問題なんですね、結局は。仕事という、そこにいる人たちの目的が割とはっきしていて、プライベートで付き合わなければいけないわけでもない人たちとの関係は、愛のタスクでの人間関係に比べたら、ものすごく楽に解決できます。その楽に解決できるはずの問題で引っかかるようでは、家族の問題はいわんやをやということなんですね(いや、夫婦間の方はビジネスライクに解決できていたりして(笑))。
仕事の人間関係で悩んでらっしゃるのであれば、まずはそこで一緒に働いている目的を(結局、他のタスクもそうなんですが)思い出してみてください。その組織の顧客にあたる人たち(同じ会社の別の部署かも)に価値を提供することですよね。その価値を提供していくために、あの嫌~な上司、部下、同僚とのコミュニケーションが必要になるわけです。仲良くなる人とは自然に仲良くなっているでしょうから、今、悩んでいる関係の相手については、嫌いなら嫌いなままでいいので、仕事上で価値提供していくために関わらざるを得ない人として、仕事が生み出す価値にフォーカスして、それさえできればOKということを目指して関わっていくといいかもしれません。あなた自身を理解してもらう必要も、相手自身を理解する必要もなくて、仕事をする上での役割分担、自分と相手への期待についてはしっかり言葉で相互理解できていることを確認した上で、今やるべきことに集中すれば、気がついたら退社時間になっているでしょうし、そんな日々をこなしていったら、もしかすると、あんなに嫌だった苦手だった人といつの間にか仲良くなっていたなぁんて未来が来ないとも限りません。
仕事の相談も絶賛受付中です(笑)。
読んでいただきありがとうございます。
みなさま今日もどうぞよい一日を。
生きとし生けるものが幸せでありますように。