アドラー心理学で一緒に考えてみませんか

アドラー心理学カウンセラーの鍵野が気になったことのあれやこれやを綴ります

数値化すること

<2023年10月26日wrote>
こんばんは、鍵野です。
車で走っていると、セイタカアワダチソウの黄色い花がやたらに目につきます。同じ黄色なのに、菜の花のそれやヒマワリのそれ、少し色は違うけど、キバナコスモスのそれとは違って、見た瞬間になんだか嬉しくはない感じがします。生命力の強い外来種で他の草花を駆逐して繫栄しているという知識が下支えしているところもあるのかもしれませんが、もう少し直感的になんだか嫌な感じがします。でも、自分でも勝手だなぁと思います。セイタカアワダチソウが好きな方もいるでしょうし、蝶や蜂から見れば、全然違う世界でしょうしね。
セイタカアワダチソウどころではなく、ヘビと蜘蛛が苦手な人はとても多いですが、これに関しては、どうやらそれらを初めてみた赤ちゃんも、同じ大きさの魚や花を見た時と違って、瞳孔を大きく開いて注視する(不安を表すんだそうな)という実験結果があるようなので、ご先祖様が樹上生活をしていた頃から、生き延びるために遺伝的に獲得した反応かもしれません。
 でも、先日、小さな蜘蛛がポトリと私の手の上に落ちてきましたが、なんだかお友達感覚で全然平気でした。よく見るととても可愛いんですよね。必死で生きていて、水がかかってしまうと呼吸ができないらしく危ない状態になるんですが、ティッシュなどでレスキューして吸水してしばらく置いておくと、回復して動き出してくれたことがあります。「よかったなぁ、本当に。達者でな」とニッコリ、嬉しくなりました。しばらく、こちらを向いてジッとしていて「ありがとう」と言ってくれてる気がしました(そんなわけないんですが)。人によっては不快な内容だったかもしれませんが、遺伝子に書かれた反応を抑えて、同じ生き物、仲間だよねぇと見てみるという学習効果が行動を変える一事例として提示しておきます(かつては蜘蛛嫌いでした(笑))。
さて、アドラー心理学を学ぶと、自分の置かれた状態を数値化というか点数化することがあります。子育て学習プログラムパセージでも出てきますし、カウンセリングでもよく使われます。「そのときの感情に点数をつけるとしたら、マイナス5~プラス5の範囲で何点になりますか?」とか。「理想の状態が10だとしたら、今現在は何点くらいでしょうか?」とか。あと、最近いいなと思って使っているのが、パートナーとあまりうまくいっていないという方に、パートナーの魅力を、身体面、知性面、心理面、金銭面、社交面と分けて、それぞれを点数化してもらう手法です。やってみてわかるのは、もともといいと思ったから交際しているわけで、最近あまり魅力が感じられないと漠然と思っていても、部分に分ければ高得点を維持している面も多いことがわかって、互いに希望を持てたりします。今挙げた数値化点数化に共通して言える効果は、数字に置き換えてみようとすることで、ある程度自分を客観視できることです。自分とそれを取り巻く環境・状況を外から眺める感じになるんですね。物差しをもってきて対象物にあてる行為をしているわけなので。
それで、アドラー心理学のおすすめは、一気に理想状態の満点を狙うのではなく、例えば、理想が10点で、現状が4点なら、まずはプラス1点、5点にすることを目指してみませんか。そのためにあなたにはどんなことができるでしょうか? というアプローチです。カウンセリングで(にわかに)元気になった相談者さんは、たぶん仲良くなったカウンセラーも喜ばせてくれようとして、ちょっと無理しがちです。そこで、カウンセラーは、頑張り過ぎて勇気がくじかれてしまわないように、一段一段ゆっくり階段を上るように、慎重に次のステップの提案をする必要があります。一方、できるだけ早く相談者さんがカウンセリングを必要としない状態になっていただく責任、お金と時間の負担を最小限にする責任もあるので、相談者さんの力をみくびらず信頼して、成長できるギリギリのところを求めていく必要もあって、とても難しいところだなぁと実感しています。その辺りの匙加減が少しでも上手くなるよう、これからも精進していきます。
読んでいただきありがとうございます。
生きとし生けるものが幸せでありますように。