こんにちは、鍵野です。
お勤めの方はそろそろボーナス支給の時期でしょうか。お勤めでも、ボーナスなんてないよ!っていう方もいらっしゃるかもしれませんね。そういう会社の社長さんもね、出してあげたいんですよねぇ、でも、ない袖は振れないと言いますか、ご自分の報酬もこれ以上削ったら生活できないというレベルにまで削っていて、貯金もほとんど会社の資金繰りに回して、それで、なんとか事業を続けているという状態の会社も多くあります。「末は社長か大臣か」と子どもに期待した時代があったようですが、これまで経営コンサルタントとして仕事を始めてから、たくさんの社長さんにお会いして一緒に仕事をしてきましたが、「社長」って本当に楽な仕事じゃないです。鍵野は脱サラして12年目の冬ですが、「社長」をしたことはありません。個人事業主だし、従業員がいたこともないし、気楽なもんです。自分が支給するお給料の先にその従業員のみならず、ご家族が暮らしているという責任を引き受けるだけの器じゃないと思って暮らしてきました。だから、その覚悟がある社長さんたちを尊敬しています。鍵野がお手伝いしても、結局、状況はよくならず、そのまま倒産という会社もいくつもありました。いろいろ言いたいことはおありだったと思うのですが、人のせいにせず、会社をたたんでスッキリしたお顔で今後のことについてお話くださる方も何人もいらっしゃいました。そういう方たちは、友人、知人に助けられる方が多いですね。あこぎなことをせず、不器用なところはあっても、人に親切にお商売をしていたからでしょうね、いろんなものをなくしたとしても、なんとかその方たちらしく暮らされているようです。経営者という役割を引き受けようなんて方は、日本ではやっぱり奇特な方という気がします。少子化多死化高齢化して、人手不足が加速している日本で、就職口はいくらでもありますから。ボーナスは、やっぱりあげるよりもらう側の方がいいですね(笑)。
さて、今日はアドラー心理学の子育てについて書いてみたいと思います。アドラー先生は、第一次世界大戦に従軍した悲惨な経験から、戦争をなくしたいという強い思いでアドラー心理学の普及にまい進されました。とくに、人が子ども時代に勇気がくじかれた結果としての犯罪者や精神病者、神経症者になる前に予防することが大事だと、子育て、子どもの教育に最大の力を注いでおられたようです。そして、アドラー先生ご自身は、親たちよりも公立学校の教師に、強い期待を抱いていたようです。もちろん、理想を言えば、勇気のある子どもを育てる役割を親が担ってくれるのが一番なのですが、伝記"The Drive for Self"によれば、他の子よりうちの子をというエゴがあるからあまり親には期待できないと考えていたようです。そういえば、息子のクルト・アドラーもインタビュー記事で、親へのアドラー心理学教育に熱心だったのはドライカースでしょというようなことを言ってました。
ここは、パセージなどを受講してアドラー心理学で子育てをした方、している方にも身に覚えのあるポイントだと思います。「うちの子さえよければ」ではまったくアドラー心理学ではないんだけれど、でも、「よその子よりうちの子」くらいはどうしたってあるでしょうし、親ってそういうものですよね。野田先生も、自己保存、種族保存の本能がベースにあって、人間の場合は社会で暮らす生き物だから、個人が社会に協力するというのは、自己保存、種族保存という点でも矛盾しないというようなことをおっしゃっていたと思いますが、それでもやっぱり「よその子よりうちの子」はあると思います。もちろん鍵野もそうでした。
そんなどうしたって自分の子どもをひいきしてしまう親が子どもを育てるときに、大事なポイントは、アドラー心理学について親ができるようになったこと以上のことを子には望めないということだと思います。「よその子よりうちの子」は置いておいたとしても、いつも「子どもより自分」、「妻より自分」、「夫より自分」で暮らしている人が、子どもに「みんなのために」を教えることはできないということですね。(※とんでもない!「私はいつも自分を後回しにしてがんばってます」っていうのは、そんな自分が人よりモラル的に優れているんだというような、その人ユニークな優越目標を追及しているだけのことが多いので、ご自分に騙されないようにぜひご注意を。)
子どもは「あなたのため」というセリフを何度も何度も聞かされて育ちますが、口には出さずとも「それってお母さん/お父さんのためでしょ?」と思いながら聞きます。それで、そういう子どもが大人として暮らす練習を始める中学生くらいになれば、そんな親の期待の逆に動くことが多くなります。人の言いなりになるのは嫌ですからね、誰だって。
もし、自分のためではなく、本当にその子のためを思ってのアドバイスであったならば、それに賛成するかどうかは別として、しっかりありがたく受け止めてくれているはずです。それで、そういう親に対してなら自分の考えをしっかり伝えてくれると思います。自分の期待はもちろんあるんだけど、それはひとまず置いておいて、人生の先輩として経験してきたこと知っていることを、後輩であるあなたにお伝えしておきたいという気持ちで話せたなら、聞いてくれると思います。聞いてもらった上で、どう判断してどう行動するかは、信頼してお任せする覚悟があればですね。
そんな相互信頼の親子関係を築くためには、まずは親自身がアドラー心理学を実践して、自分のことを棚に上げずに「みんなのために」を言える親になることだと思います。完ぺきは無理です。でも、一歩ずつでもそこへ向かって努力して変わっていく姿を、子どもたちはしっかり見て聞いて感じています。そんな親の成長に引っ張られるようにして、子どもも成長してくれます。自分にできないことを子どもに期待するのは無理な話です。子どもの成長を望むのであれば、まずはご自分が成長しましょう。その気になれば、成長のネタはいくらでも転がっています。子どもがたくさん教えてくれます。親も子も一緒に成長するのがアドラー心理学の子育てです。ぜひ、いい意味で教師の方に多くを期待していたアドラー先生の期待を裏切るように、親が勇気のある子を育てる一番の苗床になれるように、みんなで一緒に学びながら成長していきましょう。
カウンセリングもそうなんですよね、カウンセラーが到達したレベルまでしか、相談に来られた方を連れて行くことはできないので。鍵野もしっかり精進します!
読んでいただきありがとうございます。
今日もどうぞよい一日を。
生きとし生けるものが幸せでありますように。