こんばんは、鍵野です。
「もういくつ寝る~と♪、確定~申~告~♪」なぁんて歌はなかったかもしれませんが、個人事業主の一大イベントでもある「確定申告」の受付があと10日もすると始まります。前にも書いたと思いますが、やってみると割とこういうのも嫌いじゃなくて、ひょっとしたら、経理課なんてところで地味に定年まで働くオプションもあったのかなぁなぁんて思ったりします(笑)。法則というか理論というか論理というか、そういうものと、現実のモノやサービスの動きと、その結果としてのお金の出入りがぴったり合うと嬉しいんですよね。こうこうこうだからこうなるはず、で、やっぱりそうなってるというところがですね。
これって、アドラー心理学が好きなのと共通なところがあるなぁと思いました。5つの基本前提とライフスタイル論という極めてシンプルなアドラー心理学の理論で、相談者さんが困っている現実が理解できてしまう。それで、そのままいくとこうなるでしょうし、こうすればこうなるんじゃないかと、で、たしかにそうなるねぇというところが、損益計算書と貸借対照表とキャッシュフロー計算書がしっかり連動するところに似ている気がします。ここを目指すのであれば、ここをこうしなくちゃいけないという風に、論理から現実解のヒントを見出せるところもですね。
それで、具体的な事業活動についても、どこにどんな支出を計画して、いつごろどこでどう稼ぐかとかですね、その結果として年度末の貸借対照表がどういう状態になるだろうとかですね、ゴールイメージを持って動くことができます。
「エピソード分析」もまったく同じです、どんなゴールに向かってどんな行動をしたのかを分析して、相手との人間関係をよくしたいのであれば、次はどんなゴールを設定して、どんな行動をするつもりなのか、意思決定してもらって、できればリハーサルまでしておきます。
もちろん、現実がいつもその通りになるわけではないのですが、それでも目指していたことと現実がズレたらズレたで何がどのくらいズレたのかとか、今後の関係改善のための貴重なデータを得ることはできています。事業活動もそうですね、必ずズレますが、でも、課題を設定して、狙いを定めて動いた結果なので、お客さんとか事業環境とか自分の能力とか、次によりよく動くための学習はできています。
ビジネス分野で流行っている感のある、「コーチング」の源流にアドラー心理学があるんだと聞いたこともありますが、さもありなんですね。アドラー心理学をお金儲けに使うなんてとんでもない!と、野田先生はそういうところに「アドラー心理学」という名前が出されることに、かなりの嫌悪感を持ってらしたように思いましたが、アドラー心理学は、アドラー先生の時代から出典を明かす必要のない取りたい放題の宝物庫のような扱いを受けてきたので、仕方ないところもある気がします。それだけ価値ある教えなんだということで、アドレリアンとしては、アドラー心理学がぐんぐんすそ野を広げている証拠だと思って誇りを持つことにしましょう(笑)。
それで、今回は"I CAN IF I WANT TO"という認知行動理論の方の名著らしいですが、米国のあるアドレリアンが推奨していたこともあり、読んでみて、なるほど、いい本だと思ったので、紹介させてもらおうと思います。悩んでいる人を対象に、その人の具体的な思考と行動を改善するための本なのですが、いろんな"MISTAKE"な信念が紹介されています。どれも面白いのですが、今日は、「正しくあるべき人」について書かれていることをご紹介します。
「正しくあるべき。人々に、自分の意見は彼らの意見より優れていることを示さなければならない。」と信じて暮らしている人の話です。この人は、次のように信じて暮らしています。
1.私は私が知っていると思う。ゆえに私は知っている。
2.私の意見はただの意見ではなくて事実だ。
3.私の意見は正しいことが大事だ。さもなくば、私はバカに見られる。
4.自分の見解を披露するとき、自分が正しいかのように振る舞わなければ、人々は私を尊敬してくれない。
これはきついですよね…。いつも正しくないといけないって暮らしてたら、ご本人とっても辛いはずです。気軽に話せないし、何を言うにしても既に正しいという自信があることでなければ、いろいろ下調べしてからでないとですね…。
この人の周りの人も、窮屈かもしれませんね。いつも正しいことを言おうとしている人と、一緒に暮らすとなったら、みなさんならどうしますか? こちらの方が正しいってやるとケンカになるでしょうし、実際こっちが正しかったら、相手も立つ瀬がないというか…。かといって、いつも「あなたの言うことはいつも正しいね。嬉しいなぁ。最高!こんなに正しい人と一緒にいられて幸せ」とはならないような(笑)。なんか幸せにはなりにくいかもですね… と言いながら、実はですね、かく言う鍵野も、こんな感じで元妻とかいろんな人に嫌われていた気がします(笑)。野田先生とかスマナサーラ先生とか、ものすごく圧倒的に賢い人に会ってきて、自分なんて何にも知らないと同然と素直に認めることができたので、今はだいぶ楽になりましたけれども(笑)。
それで、こういう「正しい人」が幸せになるには、どうすればいいのかとその本に書いてあるのかというとですね…
A.考え直すこと。
1.事実や真実と信念、意見、好き嫌いや好みには大きな違いがあること。
2.事実はテストしたりチェックしたりできるけど、信念、意見、好き嫌いや好みはテストしたりチェックしたりできないこと。例えば「長い髪の方が短い髪より魅力的だ」とかいうこと。
3.すべての人はバカにされたり黙らされたりされずに、自分の意見を表明する権利があること。
4.意見の違いや違いへの寛容さは成長を促すこと。
5.私達に賛成しない人を攻撃したりラベルを貼ったりすることを避けるのは重要なこと。間違っていることと私たちがそれを嫌いなことや認めないこととの間には大きな違いがあること。それが他の人々を傷つける結果にならない限り、悪い考えや行い、あるいは非道徳的な考えや行いというのは存在しないこと。
この後、どう行動すればいいのかのアドバイスもありますが、それは本を読んでいただいてのお楽しみということで。あるいは、カウンセリングに来ていただければ、しっかりお伝えできると思います(笑)。
正しさを手放すのって、とっても勇気がいると思います。でも、大事な人、愛する人の幸せのためなら、そんな勇気も出てくるのではないでしょうか。
大丈夫ですよ。人類みんな不完全で間違っていながら、でも、お互い助け合ってなんとかかんとか生きてきたんですから。「自分は(いつも)正しいわけではない」という事実を認めればいいだけなんですから。それだけは正しいはずで、正しくあるべき人なら、それを認めることもできるはずです(笑)。
読んでいただきありがとうございます。
みなさまどうぞよい夜をお過ごしください。
生きとし生けるものが幸せでありますように。