アドラー心理学で一緒に考えてみませんか

アドラー心理学カウンセラーの鍵野が気になったことのあれやこれやを綴ります

名越康文さんのオープンカウンセリング

 

おはようございます、鍵野です。
今日は午後から毎月楽しみにしているエピソード分析の学習会に参加します。福岡の大先輩Iさんが主催されている学習会で、鍵野は参加率が高いのですが、たいてい来られる方、たまに来られる方、めったに来られない方、新しい方もいて、毎回、誰が来られているか行ってみないとわからないという意味の楽しみもあって、ワクワクします。元々の成り立ちは、日本アドラー心理学会の有資格者向けの講座である「練成講座」の流れで、福岡周辺の有資格者が継続的に学習する会だったようですが、現在は、有資格者に限らず、「エピソード分析」を学びたいという方が参加されています。鍵野はエピソード分析によるカウンセリングのお稽古をさせてもらうことが多いのですが、先輩カウンセラーを含めた参加者のみなさんからのフィードバックに大いに学ぶことができて、本当に助かってます。今日も、参加される方の顔ぶれ次第でどんな学びになるのかわかりませんが、ライブの流れ、その場で感じることを大切に、自分が上手になるという欲はいったん置いておいて、みなさんの学びに貢献するという視点で動いていきたいと思っています。


ライブといえば、昨日、「ライブ」について貴重な学びがありました。というのは、じつはみなさんもご存知の方が多いかもしれない有名人、名越康文さんのZOOMでのオープンカウンセリングに参加したんです。名越康文さんはご著書もたくさんありテレビにも出られている(テレビは見てないので最近の事情は知らないのですが)精神科のお医者さんですね。それで、これは知らない人も多いかもしれないんですが、じつは鍵野の師匠(勝手にこちらがそう思っているだけではありますが)の野田俊作先生のお弟子さんなんですよね。野田先生のお宅に居候までされていたとどこかで読んだ覚えがあります。だから、兄弟子、兄さんとも言える方で、野田先生のお弟子さんで一番の有名人かもしれません。そして、今回のオープンカウンセリングも、野田先生が昔やられていた大阪でのオープンカウンセリングに長い間何百回と参加されて見取り稽古された経験から、やってみようと企画されたらしいので、それは、もうすごく楽しみにしていたイベントでした。


まず、オンラインZOOMでのカウンセリングという、その方式、ライブといえばライブなんだけれど、でもリアルにカウンセラーと相談者さんと見学者が同じ場にいるわけではないというところ、じつはそこに一番興味がありました。というのも、鍵野はオンラインでのカウンセリングは、リアルに比べて、相談者さんの反応を感じ取るコミュニケーションの帯域が狭すぎて、それでは怖くてできないなぁと思ってやっていないんですね。その辺りは、どんな風に解決されるのかなぁと思いながら参加していました。


時間を延長されて2時間半のオープンカウンセリングの中で、数えてないですけど、名越さんは、10人くらいの方のカウンセリングをされたように思います(追記:録画配信を確認したら8人でした)。これ、びっくりしますよね。ふつう1時間にお1人、インターバルがあるので実際は50分でカウンセリングをされる方が多いようですが、2時間半150分でカウンセリングできるのって、せいぜい3人~4人だと思いますが、驚異的な数です。鍵野の場合は70分を標準にしているので、2人の方にしか対応できません。


それで、その短い時間の中で、それぞれの相談者の方は、悩まれていること、困っていること、に対して、自分は何をするのかという行動を決断されて(しばらく悩むと自分で決めるということも含め)ました。


最初に気になっていた、オンラインでの相手の反応をどう感得するのかという点については、アップになっている相談者さんの表情とか声のトーンとか、話すリズムで、しっかり受け止められているように見えました。説得にはならないように、押したら必ず引いて、自分で選んでもらっている、提案はするけれども、それを採用しないのも自由というスタンスは崩されず、相談者さんに合わせてかなり突っ込まれる場面もあったので、すごいなぁ、オンラインでもそんなことができるのかと驚くと共にすごい力を感じました。


助言の内容は幅広く、仏教の話、武術の話、恩師とのエピソード、お風呂にゆっくり浸かること、映画や漫画アニメの話、ご自身のオリジナルの理論(体癖(追記:これは整体の有名な理論のようですね)とかゴリラ型とか類人編類型?)も交えながら、相談者さんの援助になることは惜しみなく提供されておられました。優しく温かく必要なときは厳しく、アドレリアンらしい雰囲気をたっぷり感じることができました。


それで、一番学んだことは、これはやっぱり名越さんだからできることだなぁということでした。たくさんの著書がありマスコミにも出られていて、YouTubeでも地道に活動されていて、そこで名越さんのファンというか信奉者というか、生徒さんというか、そういう下地があって、相談を申し込まれた方を対象に、オンラインカウンセリングしているという構造はおさえておかないと凄い勘違いをしてしまうと思いました。初対面でありながら本当は初対面ではない状態からスタートしているカウンセリングだということ。相談者さんはカウンセラーをよく知っている状態からスタートしているので、その知られているであろう自分像の前提があって、そこから実際のコミュニケーションでキャリブレーションしながら、もの凄い場数の裏打ちから出てくる助言が刺さるんだろうなぁと。


感動したのは、相談者さんが、助言に納得していないと見えたら、すぐそれを指摘して、そこを梃子に、相談者さんの深いところに一緒に入っていかれるとことでした。


アドラー心理学は、ある日ある所で一回だけ起こった出来事、エピソードをもとにカウンセリングをします。いつもこうなんですよ、というレポートからは動きません。名越さんは、「エピソード分析」のように、いちいちセリフや行動として相談者さんの困りごとを取り出しませんでしたが、「あっそういうことか!」と気づいたのは(やっぱりこれが一番の学びかも)、相談者さんとカウンセリングの中でやり取りしていること自体をエピソードにして動いているんだということです。カウンセラーである自分とのやり取りでの相手の動きに、相手のライフスタイルを見て、それで動いている動けているんだと。そういえば、尊敬する日本アドラー心理学会の中島先生も具体的な一つ一つの行動やセリフを取るようなことはしませんが、ちゃんとエピソードをもとに動いてらっしゃるんですが、ご自分と相談者さんとのやり取り自体に相手のライフスタイルを見るということはされている気がします。


…と書いていて、これって、気づいている人は最初から分かっていることなんだろうなぁと、アドラー心理学カウンセリングのセンスのある人ってこういうことかもと、今、気づきました。そういう意味で鍵野はセンスがなかったのかもしれませんが、でも、ようやくその辺りを言語化、意識化できたので、次のカウンセリングで、そのあたりがどう使えるか、その場で工夫しながら試してみたいと思います。


オンラインで8,800円という参加費でしたが、こうして整理してみると、十分元が取れてお釣りがくる学びがあったように思います。最初から最後まで相談者さんを裁かない、対等で平等な位置におられて、動かれて、やっぱり野田先生のお弟子さんなんだなぁと深く納得しました。


そして、じつは、名越さんはもう一点、別のお師匠様がらみで興味がある人だったんです。それは鍵野の仏教のお師匠様であるスマナサーラ先生との共著の本を出されているんですね。これも面白い本でした。名越さんご自身もヴィパッサナー瞑想、歩く瞑想をされているという話が書かれていたのを覚えています。野田先生とスマナサーラ先生、鍵野の二人のお師匠様を直接知っている名越さんから、大いに学ばせていただきました。この学びをこれからのカウンセリングに活かしていきたいと思っています。


読んでいただきありがとうございます。

みなさまどうぞよい週末をお過ごしください


生きとし生けるものが幸せでありますように。