アドラー心理学で一緒に考えてみませんか

アドラー心理学カウンセラーの鍵野が気になったことのあれやこれやを綴ります

オープンカウンセリング

こんばんは、鍵野です。
来年はアドラー心理学がさらに盛り上がる年になりそうです。野田俊作顕彰財団(AIJ)のオープンカウンセリングが全国各地で開催されるとのこと。オープンカウンセリングというのは、アドラー先生以来の伝統で、普通、カウンセリングというと、カウンセリングルームでクライエントとカウンセラーだけで行われるというイメージがあると思うのですが、オープンカウンセリングは、多くの見学者がクライエントとカウンセラーを見守る状況の中で行われるカウンセリングです。守秘義務も何もあったもんじゃない感じになりますが(笑)、見学者は見たこときいたことを外では話さない、SNSなどにもあげない、メモも録音も写真やビデオ撮影も禁止という約束のもと、一定の守秘義務は保たれているという前提で行われます。

 

とはいえ、厳密に言えば公認心理士とか公的資格を持っているカウンセラーさんにとっては危うい状況ではあるので、カウンセリングとは言いながら、これはグループワークですという建付けで行われると理解してもらえば、みんなにとって安全と思います。そういうお約束があってのオープンカウンセリングなので、誰でも歓迎ウェルカムというわけにも行かないんですね。なんか言いふらしそうだからって人は論外ですが、その辺は大丈夫であっても、参加をお断りする場合があることがとっても大事なんですね、オープンカウンセリングでは。

 

というのは、実はですね、これ、オープンカウンセリングって見学参加されている方の力を大いに利用している面があるからなんです。鍵野も何度も見学参加したことがありますし、前に出てクライエントとしてカウンセリングをしていただいたこともあるんですが、特にクライエントをしているとき、見学してくれている人が応援してくれているように感じるんですね。仲間だよという感じ。で、見学をしていても、他人ごとではない、身につまされる感じ、涙ぐむ人もいるし、一緒に笑う人もいるし、そう、共同体感覚がそこにある感じがねぇ、するんですよね。クライエントもカウンセラーも見学者もみんなで所属し合っている感じ。だからですね、ぜひ一度体験して欲しいなぁと思うんですね。

 

かく言う鍵野も、実はここだけの話(って公開しとるやないかい(笑))、ある先生のオープンカウンセリングに申し込んで、参加を断られたことがあります。でも、理由をお聞きして、その主催者の方をあらためて立派な方だなぁと尊敬し直しました。理由というのは、これまで長い間、とても大切に貴重な学びの場として行われてきたオープンカウンセリングで、何かその場の雰囲気を壊すかもしれない不確定要素は入れたくないということでした。

 

鍵野の自覚としては、純粋に自分の腕を磨きたくて尊敬する先生のカウンセリングを見取り稽古できる機会と思って、旅費も結構かかるんですが、喜び勇んで申し込んだんですが、たしかに、その主催グループとは関わりがなかったし、言われてみればもっともだと。いくら、こっちが変なことはしませんからと言ったところで、いるだけで場の雰囲気を壊すかもしれない力があると買い被られたのかも(笑)、なぁんて、まぁそんなことはないでしょうけど、大事な場だからこその気配りに同じアドレリアンとして、素晴らしい!と敬服しました。たしかに、不協和音的なことがあると、カウンセリングしにくいでしょうし、何よりクライエントさんを傷つけてしまうかもしれませんものね。立場が逆であれば鍵野も同じことをするかもしれません。一見さんお断り、関係者の推薦があった方のみとかって(笑)。

 

それで、オープンカウンセリングと聞いて思い出すのが、野田先生の福岡でのオープンカウンセリングです。申し込んだんですけれど、これは主催者の方は歓迎してくださったんですが、こちらからキャンセルしたんですよ。あれが野田先生のカウンセリングを見れる最後のチャンスだったろうに…。なんでキャンセルしたかというとですね、当時まだパセージも受けてなかったくらいじゃなかったかな。初心者も初心者でしたが、カウンセラーは目指してはいたので(笑)、野田先生のカウンセリングをぜひ見てみたいと思って、意気揚々と申し込んで、で、面白いし勉強になるしで、野田先生の日記「補正項」を読んでいたら、「そもそも公開カウンセリングとはなんぞやということに関わっている。それは「見世物」ではない。つまり、なにも知らない人が、珍しいものを見て面白がるための会ではない。そうではなくて、自分も同じようなカウンセリングをしている人が、先輩のやり方を見て参考にするための会だ。」という記述を読んで、これはいかん、自分のようなものが見に行くものじゃない、それをしたら師匠(勝手にそう思っていたんです、今もですが)の教えに背くことになると、すぐにキャンセルをお願いしたのでした。

 

主催されていた大先輩は、そう言わず見てみることを勧めてくれましたが、すみませんとキャンセルさせてもらったのでした。見ても面白かったかもしれないけれど、何もわからなかっただろうし、野田先生のカウンセリングは見ず仕舞いだったけど、よかったと思っています。

 

この辺り、でも、どうなのかな? 先生方によって考え方が少し違う気もします。何度かオープンカウンセリングに参加しているけど、見学者はみんなカウンセラーというわけではなかったし、もう少し広げてもみんな援助職(パセージリーダー含む)というわけでもないようだし、アドラー心理学を学んでいる人という意味では成立していたかなとは思いますが。

 

でも、アドラー心理学アドラー先生やそのお弟子さんたちの臨床の現場から、現場で有効なことだけから出来上がってきた学問ですから、その臨床の現場そのものであるカウンセリングをライブで体験できるのは、すごい学びにはなるはずです。学んできた、理論と思想と技術が目の前で生きて動いているのを体感できるわけですから。カウンセラーの一挙手一投足にアドラー心理学的に理解できる意味があるはずです。もちろん全部は見えませんが、こちらの学び込み度合に従って、少しずつ見えるものが増えてきた気がします。

 

ということで、今の鍵野の見解ですが、カウンセラーになりたいわけではない人も、アドラー心理学を学んでいる、特に理論は頭では理解したと思えている人であれば、オープンカウンセリングを見学する価値はあると思います。カウンセラーの動きを理論と紐づけて、なぜあそこでカウンセラーがああ動くのかがわからないってことをみつけられたら、それはすごい収穫だと思います。現場の動きが先にあって、そこから理論が後付けでできたのが本当のところですけど、先に理論を習っている場合、それはこういう意味だったのか、と後で現場の動きと紐づけることができれば、本当に理論がわかったことになると思いますから。

 

それで、今、ですね、とっても悩んでいるのが、3月にオープンカウンセリングが3件あるんですよ、関西方面で。で、どれに行くかと…うーん、どれも魅力的なんですよねぇ、全部違う先生だけど。しかも、惜しい!と思うのが、まったく同日同時間帯に同じ関西で2つ開催されるんですよねぇ。これ、一日ずれていたら両方見学できたのになぁって、大変勝手ですが。コピーロボットが欲しい(笑)。

 

もう少し悩みたいところですが、迷っているうちにどちらも定員に達しましたっていう最悪のシナリオもあるわけで、早く決めて申し込まないとなぁと、めったに悩まない質なんですが、珍しく、結構真剣に悩んでいるのでした。でもオープンカウンセリングがたくさんあって迷えるなんて、夢のような嬉しいことでもありますが。対応の幅を広げる学びを期待するか、確実に腕を上げる方向の学びを期待するか、どっちにしようかな…悩む。 どっちがいいと思います?

 

読んでいただきありがとうございます。
みなさまどうぞよい夜をお過ごしください。

生きとし生けるものが幸せでありますように。