アドラー心理学で一緒に考えてみませんか

アドラー心理学カウンセラーの鍵野が気になったことのあれやこれやを綴ります

メタい人

こんにちはあるいはこんばんは、鍵野です。
久しぶりに映画を観ました。ご存知の方も多いかもしれませんが『スパイファミリー』というアニメ映画です。これ、私が好きなアニメというわけではなく、娘が大ファンだったみたいで、アマプラでよく観てました。なんか娘とアーニャという女の子のイメージや雰囲気が似ていることもあって、親父はしっかり観たことはないものの、いい印象は持っていました。それでそういえばいつか会ったときに元妻がその映画を観に行きたいなぁと言っていたなぁ、もちろん一人で映画もいいだろうけれど、ちょっと興味あるし、一緒に行かないかなぁと声をかけてみたところ、ちょうどいいねということになり、仲良く定番のポップコーンを食べながらの映画鑑賞を楽しみました。


まぁそりゃぁプロが脚本書いてるんだし、当たり前でしょうけれど、いろんな伏線が張られていて、それらが最後の最後までしっかり回収されて、登場人物の性格設定、パーソナルストレンクスの設定もよくできていて(こうやって見るあたりがアドラー心理学おたく(笑))、見ごたえがありました。早期回想シーンもあったり、登場人物の優越目標追求と、その過程で培われたストレンクスが、共同体への貢献に向けて使われているところがあったりなど、また、悪人が完全な悪人ではなく、人としての共通感覚を覗かせるところなど、よくできた物語だなぁと思いました。


でも、娘にこんなことを言ったら、「パパ、やめて! そういうメタいこと言う人きらい。つまんなくなっちゃう」って怒られそうです(笑)。「メタい」って言葉、知ってました? 鍵野も知らなくて娘に教わったんです。メタな視点でお話とか見ちゃうと入り込めなくてつまんないって。うーん、カウンセラーとしては、その「メタい」視点があるからこそ仕事ができるんですけども(笑)。


カウンセリングで相談者さんのお話を聞くとき、映画を観るように、物語を読むようにお聞きします。それで、そのお話の特定の登場人物に感情移入して聞くことはしません。相談者さんも含めたそれぞれの登場人物が、その人たちなりに、所属し合おうとして、懸命に努力して、でも失敗してしまっている物語として聞いています。誰が悪いわけでもなく、みんな人間ですもの、ライフスタイルがあるから、それぞれよかれと思って目標追求をしたあげくに、「なんでわかってくれないの? こうすりゃいいじゃん!」っていう方向が、それぞれユニークで違うので、そりゃぁうまくいかないこともありますよってだけの話なんですよね。


別に、相手を困らせようと思ってやっているわけではないんです。それがその人なりの相手と仲間になろうとする方法なんですよね。見た目は立派な大人でも、ほぼ全人類が、それぞれが小さな子どもだったときに、せいぜい5歳くらいのときに「こうしたら、わたしは(ぼくは)、みんなにとって、なんでもない人どうでもいい人ではなくて、大事な人特別な人にになれるぞ」ってみつけた、感じられた、それぞれにとって実績のある目標に向かって、実績のある手段をとっているだけなんです。


例えば、大声で騒いで暴れまわったら、いつもは大人たちに無視されてたのに、少なくとも怒られたりどつかれたりして、ここに自分がいることには気づいてもらえたという実績を持つ人にとっては、30歳なり40歳なり、見た目は立派な大人になっても、その人が本当にピンチな状態になったら、大事な家族に対して、わめきちらして暴れることがあるかもしれません。


小さなころ、悲しそうな顔をしてだまってじっとしていたら、「どうしたの?」と大事な人が優しくしてくれて「特別な人」になれた経験を持つ人は、暮らしの中で「なんでもない人」になってしまったと感じたとき、きっとわめきちらしたりはせず、悲しそうな顔をしてだまってじっとする方を選ぶと思います。


百人いれば百通りの、その人ユニークな、なんでもない人から特別な人になるための方法を持っています。ただ、残念なのは、それは小さなころに成功して、今もたいてい成功しているのかもしれませんが、いつも成功するわけではないし、今、関わっている人が大切な人、距離の近い人であればあるほど、失敗したときのショックが大きいし、失敗したならば他の方法を試せばいいようなものですが、失敗して不安になればなるほど恐れれば恐れるほど、小さなころに成功したその人にとっては真実に見える、ライフスタイルに従って、お決まりの方法にますます固執してしまうんですね。


それで、やっぱりうまくいかなくて、自分が人々に世界に否定されてしまったように感じてしまう。次こそはうまくいくはずと、期待をすればするほど、失敗した時のショックも大きくなって、「この人とは無理かも…」とあきらめてしまう…。そうやってライフスタイルを成長させないままで、なんとかやっていける相手と出会えたらそれはラッキーなのかもしれませんが、大吉が出るまでおみくじを引き続けるような人生も、それはそれでしんどいような気がします。そもそも、誰ともコミュニケーションしなければ、失敗もないんですが、それでは人間として生きていけませんし…


だから、アドラー心理学に出会って欲しいんですよね、多くの人に。変わろうと思えば変われるんですから。アドラー心理学だけが変われる手段ではないですが、でも、百年以上の実績があるし、シンプルだし、そんなに多くはないけど、その自分が変わるお手伝いのプロであるアドラー心理学カウンセラーも、この日本には探せばまだ百人はいないかもしれないけど、求めさえずれば会えないわけではないですから。


そういうわけで、「メタい」ことが大好きな鍵野は、今年も、相談に来られる方の大切なお話を「メタい」視点から味わわせていただいて、アドラー心理学カウンセリングならではの、お手伝いができればと思っています。


読んでいただきありがとうございます。

みなさまどうぞよい一日をお過ごしください。


生きとし生けるものが幸せでありますように。