アドラー心理学で一緒に考えてみませんか

アドラー心理学カウンセラーの鍵野が気になったことのあれやこれやを綴ります

セルフタスクは必要か?

<2023年10月21日wrote>
こんばんは、鍵野です。
夜はだいぶ冷え込んできましたね。しっかり掛け布団が必要な季節になりました。身体が冷えると寝れませんよね、特に手足が冷たいと。そういえば子どもたちが小さい頃、一緒に布団で横になってて、手足が温かくなるとすぐ寝てましたね、子どもたち。それで親父はまだ仕事が残っているから、リビングに戻るはずが…そのまま朝になっていて「しまった!」ということが何度かありました。湯たんぽじゃないけど気持ちいいんですよね、一緒に寝てると、ホカホカして(笑)。まだお子さんと一緒に寝れるお母さんお父さん、その幸せを今のうちにしっかり味わっておいてくださいね、とっても貴重な体験だと思います。
 さて、アドラー先生は、人生には3つの課題(タスク)があると言いました。仕事のタスクと交友のタスクと愛のタスクです。いろんな解説はあるんですが、野田先生は、あるところで人間関係の持続時間で分けられるともおっしゃっていました。初めて行ったお店で、もうおそらく二度と会うことはなさそうな、店員さんとの関係は、仕事のタスク。仕事場の同僚で、仲良しというわけではないけれど、これからもその職場にいる限りは付き合っていく人との関係は、交友のタスク。本当はできるだけ会いたくないんだけれども、夫と離婚しない限りは、付き合っていかなければならない、お姑さんとの関係は愛のタスクだと。ただ、夫と妻の関係でも、家事の分担の話であれば、仕事のタスク、どこに遊びに行こうかとかの話であれば、交友のタスク、単身赴任するかしないかという話であれば、愛のタスクというように別ける場合もあって、どちらが正解というわけでもなくて、誰かを援助するときにそう考えたら便利でよい援助ができるのであればそう考えればいいというだけかもしれません。
その後、モザック先生とドライカース先生が、セルフタスクとスピリチュアルタスクというものの追加を提案されました。セルフタスクは自己受容に関するタスクで、スピリチュアルタスクは人生の意味とか宗教的なことに関するタスクのことのようです。
野田先生はスピリチュアルを別にタスクに出すのには反対のお考えで、3つのタスクをスピリチュアルに考えるかどうかという態度の違いとされていたようです。セルフタスクについてはどうお考えだったかわからないのですが、3つのタスクを増やす考えはなかったようなので、必要ないと考えられていたのだと思います。やっぱり自己受容も3つのタスクにおける自己受容の問題と考えれば問題ないのかなという気がします。
なぜ、そういうことが気になったかというと、カウンセリングをしていて、ときどき(自分がカウンセラーでも、人のカウンセリングを見学していても)、エピソードの相手役がいない、よくわからない相談があるからです。これがカウンセリングの試験であれば、別の(相手役のはっきりした)エピソードはありませんか?とお願いするところなんでしょうが、プロとして相談を受ける以上、それで困って相談にいらっしゃるんだから、そこはなんとかできることはしたいですよね。別に誰かと具体的なやり取りがあるわけじゃないんだけど、でも…どうしたらいいんですかね…と悩まれているような相談に対応するのにどう考えたらいいかと。それで、これは自分が相手役になっていると捉えてセルフタスクなんじゃないかと、考えたんですね。でも、セルフタスクにしたところで…だから?なんですよね、結局は。
アドラー心理学理論の社会統合論(対人関係論)からすれば、すべての人間の行動は、社会的な意味を帯びている、他の人に向けられた行動なんですね。ふもとに村のある山の上の方で独居する仙人がいて村人と没交渉なんだけれども、ある日、ふもとの村が他の山のふもとに引っ越したら、その仙人もその村が引っ越した先の山の上の方に引っ越したとか(笑)。
だから丁寧に相談者の話を聞いてアドラー心理学の理論で分析すれば、相手役は一見いないようでもちゃんと対人関係として悩んでいることがわかるし、わかればカウンセリングできるということですね。以前、現日本アドラー心理学会指導者の中島先生に質問して、そんなような回答をいただいたのでした。おかげで、ちゃんとカウンセリングできました。ありがとうございます(先生は目にされないとは思いますが、感謝の念を込めて)。要は相対的マイナスから相対的プラスへの動きが見えればいいんだと、かなり実感を伴ってわかってきた気がします(油断禁物ですが)。
読んでいただきありがとうございます。
みなさまどうぞよい週末をお過ごしください。
生きとし生けるものが幸せでありますように。