アドラー心理学で一緒に考えてみませんか

アドラー心理学カウンセラーの鍵野が気になったことのあれやこれやを綴ります

映画『14歳の栞』とそれぞれのライフスタイル

こんにちは、鍵野です。
今日はちょっと寒い佐伯上浦です。暖房はもういらないかと思っていたんですが、今ふたたびお世話になっています(笑)。


今週は大先輩のIさんがお世話役をしている福岡の自助グループ「東夜の会」に参加してきました。ごく少人数でしたが、先日のカウンセリング実習の振り返りや昔の日本アドラー心理学会の話などで盛り上がりました。近くのインドネパールカレー屋さんに移動してからも、アドラー心理学とからめながらですが、大東亜戦争の話とか、仏教の話とか、政治の話などもできて、楽しい時間でした。


それで、今日はその福岡に行くついでに観た映画『14歳の栞』について書いてみたいと思います。


今回も日田の味のある映画館リベルテで観たのですが、埼玉県春日部市の中学校の2年6組の生徒さん35人の一年間を追ったドキュメンタリーでした。


14歳になる歳、中学2年生というのがいいんでしょうね。大人になろうともがいている真っ最中という感じで、35人それぞれがそれぞれに悩みながらぶつかり合いながら暮らしている様子がリアルに伝わってきました。


どうしてもアドラー心理学から観てしまうのですが、あらためて、人はそれぞれに個性的な方法で所属に向かって動いていることがよくわかる映画でもありました。


人をいじることでその反応をみながら所属していく人がいたり、みんなに嫌われないように自分を極力出さずに周りに合わせていくことで所属していく人がいたり、教室ではなく相談室に登校することで所属している人、みんなを笑わせることで所属していく人、からかいやちょっかいは無視して自分の好きなことを一人で追求することで所属している人、裏切られないように誰も本心からは信用しないことで所属している人、成績がいいことをアピールすることで所属している人、バスケで県の代表になって活躍することで所属する人などなど…


個性的な所属の方法、人生のサバイバル戦略、アドラー心理学では「ライフスタイル」と言いますが、そのライフスタイルは5歳くらいまでにはかなり定まってきて、その後少し手直ししながら10歳くらいまでにはほとんど完成しているのではないかと言われています。


ということで、映画に登場した14歳の彼彼女らにはしっかりライフスタイルがあるわけで、映画では誰か特定の人にだけフォーカスすることなく、35人全員が主人公という感じで、並列に扱われていて、おかげでそれぞれのライフスタイルの違いがよくわかり、アドラー心理学カウンセラーとしてもとても勉強になりました。


自分が14歳のときは中学2年のときはどうだったかなぁ…と思い返すのですが、あまり覚えてないんですね、これが。その頃、数学が嫌になったのだけは覚えています(笑)。女の先生でしたが、その先生のせいであんなに好きだった算数、数学が嫌いになったんだと、珍しく人のせいにしていた時期がありました。今は、そのときに求められるようになった課題の水準が上がって、それまでほとんど努力なしにできていたのにできなくなったのを、人のせいにしただけだったなぁと思っていますけども。


クラスメイトのこともあまり覚えていないですね。いろんな人がいたのは間違いないし、校内暴力全盛期ではあったので、やんちゃな人もたくさんいたし、先生を音楽室に閉じ込めるとか、窓ガラスが割れるとかはありましたが、それなりに所属はできていた気がします。いじめっ子でもないしいじめられっ子でもなく…、そうだ!ゲーム感覚というか、テスト前の一夜漬けが得意で、授業態度はよくないのにテストの点だけはよかったのが、しゃくに触ったらしく、社会の先生に憎まれていたのを思い出しました。不良でもないがちょっと反抗的で、まぁ勉強はできる生徒というところでなんとか所属していたようです(笑)。


それから、映画を観て思ったのが、やっぱり中学校というのも現代競争社会の縮図であって、そこへの所属の訓練の場になっているのだなぁと。これは鍵野が中学生のときから全然変わっていないなぁと。学校の成績にしても、部活での大会参加にしても、それぞれの個性を伸ばしながらくつろいで所属する場にはなっていなくて、競争を煽られ、互いに比較し合いながら優劣を競う場なんだなぁと。そういう場に適応できる大人になるための訓練場としての中学校なんだなぁ、相変わらず、と思いました。


そして、これはアドラー心理学の思い描く理想であり、かつ幼い頃から洗脳され続けてきた競合の夢から覚めさえすればただちに現実でもあることがわかるのですが、様々な能力に差があることを認め合いながら、しかも、能力と人間としての価値にはまったく関係がないこと、人の価値は平等であることが呼吸をするように当たり前のこととして過ごせる場を子どもたちに用意できたらどんなにいいだろう、どんなに道は遠くとも、そこへ向けてできることを一歩ずつでもやっていかないとなぁと、あらためて思いました。


みなさんもよろしければ『14歳の栞』観てみてください。おススメです!


そういえば何十年ぶりくらいで同窓会の案内が人づてに届いたのでした。中学ではなく高校のですけれども。都立高校だったので、当然東京で開催なので、参加はないよなぁ…と思っていたのですが、映画『14歳の栞』を観て、クラスメイトのその後、あいつやこいつや、あの人にあの人のその後が、少し気になってきました。彼彼女らが、それぞれのライフスタイルを使ってその後どんな人生を歩んでいるのかが。


今日も読んでいただきありがとうございます。

みなさまどうぞよい夜をお過ごしください。


生きとし生けるものが幸せでありますように。