アドラー心理学で一緒に考えてみませんか

アドラー心理学カウンセラーの鍵野が気になったことのあれやこれやを綴ります

大好きな娘の勇気をくじいてしまった話

こんばんは、鍵野です。
5月ころからだったと思うんですが、家の中でよくアリさんに会うようになりました。いろいろ食べ物を置いているわけではないんですが、彼らの探知能力は凄くて、台所に食べ物のちょっとしたかけらなんかがあると、集まってきます。果物の皮とか汁とかもすごく引き寄せるみたいで、殺生はしない仏教徒としては、ゴミ出しがもの凄く大変になるので(アリさんを分別(笑))、食事が終わったらなるべく手早く、彼らが探知できないようなところにまとめます。


殺生はしないとは言っても、自分が生きているということは、免疫機能がしっかり働いているからで、ということは、細菌だのウイルスだのといった生き物を殺し続けてはいるんですよね、意識していないだけで。でも、この意識しているかどうか意図的に殺したかどうかが悪業になるかどうかの分れ目らしく、そのつもりはないけれど、いつの間にか虫を踏みつけてしまった場合はまぁ仕方ないんですが、わざと殺意を持って意図的に踏みつけたら、それは明らかに殺生でしょうと。でも、細菌感染してて、抗生剤を飲む場合は、どうなんでしょうね、自分の命を守るためとは言いながら、殺菌したいわけだから、やっぱり悪業は悪業なんだろうなぁ…正当防衛という理屈は仏道に当てはまらないだろうし。点滴で入れてもらったら、点滴をした人の悪業?ですかね。生命を救うために生命を殺さざるを得ないという… 俗世間のルールとしては、人だけ特別扱いにしないと成り立たないんでしょうね、やはり。そもそも生命が作ったものを食べないと生きられないですものね、私たちは。


それでも、だからしょうがないんだと開き直って悪業を重ねてはいけないので、仏教徒としてはできるだけ他の生き物への迷惑が少ない生き方をしたいと思っています。そういう意味で、しっかり見えるけれど十分小さいアリさんなんかの扱いはちょっと厄介です(笑)。掃除機で間違って吸い取らないように、布巾で間違って潰してしまわないように結構気を使います。


アリさんにしてみれば、命がけで家に(そんな意識はないでしょうけれど)入ってきて、仲間と生きるために必死に食料を調達しているわけで、そんな健気な姿を見ると何か美味しいものでもと思ったりしないわけでもないですが、いやいやいや、これ以上侵入者が増えては困りますから、ここには何もありませんよという状態をキープしないとですね。


でも、アリはアリでもシロアリだったら困りますよね…、私は柱とかは食べないんでどうぞ好きなだけというわけにもいかないでしょうから、駆除ということになるんでしょうね。そうなったらプロに頼んで悪業を引き受けてもらうのかなぁ(笑)。プロがいるって助かりますね。


殺生したくないということで、だいぶ前に子どものころからの趣味だった釣りはやめました。ルアーでキャッチ&リリースならいいだろうとも考えたんですが、いや、かえってよくないなぁと。生き物を騙して(餌だよと嘘をついて)捕らえて傷つけてしまう(死ぬ魚もいるでしょうし…せめて本当の食べ物をねぇ…)遊びというのはいけないなと。まだプロの漁師さんの方がそれで生計を立てているので罪は軽い気もするし。鮎の友釣りが大好きだったんですが、あれも最悪ですよね。おとり鮎という生き物を使ってそこにいる鮎を騙して怒らせて、突っかかってきたのを引っかけるわけですから… 


思えばそうやって、これまでたくさんの悪いことをしてきましたが、できるだけ善業を積んでいくしかないですね。善業をうんとたくさん積んでいけば、その善業が悪業たちが結果を出すのを今か今かと待っている待ち行列にどんどん割り込んでくれて、悪業たちが後回しになって、実るチャンスを失うそうですから(笑)。


それで例によって関係ない前置き(笑)が長かったですけど、今日は勇気づけ…じゃなくてその反対、「勇気くじき」について考えてみたいと思います。勇気くじき、勇気をくじくという意味ですが、アドラーカウンセリングでしているのは一言でいえば「勇気づけ」ともいえるので、ということは、相談に来られる方は、勇気づけを必要としている人であって、ということはどこか勇気をくじかれている人とも言えそうです。それでも、相談に来てくださること自体、とても勇気がいることだと思うので、そこまでひどく勇気をくじかれているわけでもないとも言えますかね。

 

勇気をくじかれた状態というのはどういう状態かというと、その反対の勇気づけられた状態、本人にとっては勇気づいた状態の反対を考えればいいわけですね。それでアドラー心理学で勇気づけられた状態というのは、どういう状態かと言うと、自分のためだけではなく、自分も含めたみんなのためになるような行動をしようとしている状態のことです。別の言い方をすれば共同体感覚に基づいた行動をしようとしている状態ですね。ということは、勇気をくじかれた状態というのは、自分のためだけに行動しようとしている状態、別の言い方をすれば共同体感覚ではなく自己執着に基づいた行動をしようとしている状態と言えます。


それで、自分のためだけに行動しようとしている状態、自己執着に基づいた行動をしようとしている状態は、他の人に対して競合的な状態であると言えますし、自分も含めたみんなのためになるような行動をしようとしている状態、共同体感覚に基づいた行動をしようとしている状態は、他の人に対して協力的な状態であると言えます。


アドラー心理学の思想、信念、ドグマ(笑)として、人が不幸だとしたらその人が競合的だからであって、その人が協力的になれば幸せになるというのがあります。これは、アドレリアンはそう信じているし、自分で体験的に知っているし、他の人がそうなった(不幸から幸福の方に)のも知っていますから、ここだけは決して譲らずに、協力的に暮らす方をお勧めします(強制はできないししませんが)。協力的な暮らしを勧めないのであればそれはアドラー心理学ではありません(さしあたって何をすることが協力的なのかは、ケースバイケースで、仲良くする=協力とは限りませんが)。


お互い勇気づけ合って暮らしていきたいなと思うんですが、この世に完ぺきな人はいないので、アドラー心理学を学んでいても、そんなつもりじゃなくても相手の勇気をくじいてしまうことが往々にしてあります。そんな勇気くじきの実例を、反面教師的に参考になればと、またまた娘とのエピソードを紹介してみたいと思います。

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<2021年2月3日>
冬の夜、息子(16歳 高二)が風呂に入っている。(古い一軒家で寒い)

私:洗面所へ行くと、ファンヒーターが作動して暖かくなっている。
  ヒーターの前には息子のスリッパがある。)(-1※私の感情)
 (ヒーターのスイッチをOFFにして電源を切る。
  リビングに戻り、娘と話そうと和室の布団のところに娘がいたので)
  Rちゃん、あれヒータースイッチ入れたの?

娘(10歳 小四):うん。スリッパ冷たいけぇ、温めてあげようと思って

私:そっかぁ、やさしいね

娘:(こちらを見ている。笑顔)

私:でもね、お兄ちゃんは大丈夫と思うんだ

娘:(顔が曇る)

私:ほら、いろいろエアコンとか電気使ってるし…
  お兄ちゃん、必要だったら自分ですると思うから

娘:うぇーん 私、余計なことした~(布団にもぐる)(-1後悔)

私:いや、とってもステキなことだとは思うんだけど…

娘:もういい! うぇーん、よけいなことした~ (-1後悔)

私:いや、いいことしてくれたと思うんだけどさ…

娘:(布団にもぐったまま)(-1後悔)

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いやぁ、しっかり勇気くじいてますね~(笑)。まだカウンセラー試験に合格する前とはいえ、かなりやりこんでいたはずなのにこの失敗。


最初のマイナス感情は、イラっとした感じ、怒りでしょうね。もったいない!っていう(笑)。その流れでせっかくの娘の行動(善行為、善業ですよね)にケチをつけてしまってる。その方がよっぽどもったいないですよね。一緒に喜んで、息子も一緒に喜べるし、幸せが膨らんでいくチャンスだったのにねぇ。


娘のしたことを「そっかぁ、やさしいね」と掬ってるところはいいんだけど(実際、娘もいい反応をしてくれてるし)、そこで、それでも自分が正しいがムクムクっと顔を出したというか抑えられない感じで、欲を出して、いい機会だから娘にもっと賢くなってもらおうと思って(これ鍵野のライフスタイルだなぁ)、言いたくなっちゃったんですよね、せっかくの雰囲気を台無しにしてまで。まだまだ修行が足らんなぁ~、お主(笑)。


今の鍵野ならどうするか?
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私:洗面所へ行くと、ファンヒーターが作動して暖かくなっている。
  ヒーターの前には息子のスリッパがある。)(-1※私の感情)
 (ヒーターのスイッチをOFFにして電源を切る。
  リビングに戻り、娘と話そうと和室の布団のところに娘がいたので)
  Rちゃん、あれヒータースイッチ入れたの?

娘(10歳 小四):うん。スリッパ冷たいけぇ、温めてあげようと思って

私:そっかぁ、やさしいね

娘:(こちらを見ている。笑顔)

私:お父さん、そこまで気がつかなかったよ(ニッコリ)

娘:へへぇ~(さらに笑顔)

私:(洗面所に戻ってヒーターを入れ直す)
  (娘のところに戻り)
  Rちゃんがやさしい子に育ってくれて、お父さん嬉しいな(ニッコリ)

娘:ふふーん(ニンマリ)

私:ドヤ顔!(笑)

娘:ハハハハ

私:ハハハハ

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こんな展開ですかね。結局、兄が妹の気遣いに気づかない可能性も高いけど、それでも、嬉しいエピソードで終われたはずです。

息子も妹が大好きでしたから、きっとこんな展開に…

娘:兄ちゃん、なんかお風呂出たとき気づいた?
息子:え? うん?
娘:スリッパ~! 温めといたんで!
息子:そうなの? ありがと!Rちゃん。優しいなぁ~兄ちゃん泣いちゃいそうだよ(笑)
娘:へへぇ~(満面の笑み)

親父が欲をかいて勇気くじきさえしなければ(笑)。電気代なんて安いものですよね。この場が勇気づけの場、家族団らんの一コマに変わるのであれば。


幸せの扉の鍵はあなたが握っています。あなたの行動が変われば、文字通りに世界が変わります。もし、大事な人間関係で気になることがあるのでしたら、一度、アドラー心理学で一緒に考えてみませんか? 何度も失敗しながら自分で行動を変えてきた鍵野があなたが幸せに向かうお手伝いをさせていただきます。お問い合わせはメールかお電話で、お気軽にどうぞ。


読んでいただきありがとうございます。

みなさまどうぞよい夜をお過ごしください。


生きとし生けるものが幸せでありますように。